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12月01日-12号

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  1. 神奈川県議会 2020-12-01
    12月01日-12号


    取得元: 神奈川県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-16
    令和 2年 第三回 定例会 △《本会議録-令和2年第3回-20201201-028770-諸事項-出席議員等議事日程-》         令和2年第3回神奈川県議会定例会会議録第12号〇令和2年12月1日 午後1時開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共105名       出 席 議 員                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       永   田   磨 梨 奈                       加   藤   ご   う                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   村   ゆうすけ                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   圭   介                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       池   田   東 一 郎                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       米   村   和   彦                       栄   居       学                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       石   川   裕   憲                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       さ と う   知   一                       楠       梨 恵 子                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       加   藤   元   弥                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       浦   道   健   一                       青   山   圭   一                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       内   田   み ほ こ                       国   松       誠                       杉   本       透                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       松   本       清                       長   友   よしひろ                       北   井   宏   昭                       菅   原   直   敏                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       作   山   ゆうすけ                       長   田   進   治                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       てらさき    雄   介                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       く さ か   景   子                       曽 我 部   久 美 子       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         同             首   藤   健   治         政策局長          髙   澤   幸   夫         総務局長          和   泉   雅   幸         くらし安全防災局長     花   田   忠   雄         環境農政局長        石   渡   美 枝 子         福祉子どもみらい局長    橋   本   和   也         健康医療局長        前   田   光   哉         産業労働局長兼         エネルギー担当局長     山   田   健   司         共生担当局長        安   井   由 美 子         教育委員会教育長      桐   谷   次   郎         同  教育局長       田   代   文   彦         警察本部長         大   賀   眞   一         同  総務部長       和   智       勉   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          谷   川   純   一         議会局副局長兼総務課長   霜   尾   克   彦         同  議事課長       小 野 関   浩   人         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和2年第3回神奈川県議会定例会議事日程第12号                            令和2年12月1日午後1時開議第1 定県第 118号議案 令和2年度神奈川一般会計補正予算(第8号)   定県第 119号議案 同  年度神奈川水源環境保全再生事業会計補正予算(第1号)   定県第 120号議案 同  年度神奈川水道事業会計補正予算(第1号)   定県第 121号議案 同  年度神奈川公営企業資金等運用事業会計補正予算(第1号)   定県第 122号議案 同  年度神奈川酒匂川総合開発事業会計補正予算(第1号)   定県第 123号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 124号議案 神奈川県固定資産評価審議会条例の一部を改正する条例   定県第 125号議案 事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例   定県第 126号議案 神奈川県統計調査条例の一部を改正する条例   定県第 128号議案 神奈川県行政機関設置条例の一部を改正する条例   定県第 131号議案 収入証紙に関する条例の一部を改正する条例   定県第 132号議案 神奈川県手数料条例の一部を改正する条例   定県第 133号議案 行政財産の用途又は目的を妨げない限度における使用に係る使用料に関する条例の一部を改正する条例   定県第 134号議案 神奈川県漁港管理条例の一部を改正する条例   定県第 135号議案 神奈川県ふぐ取扱い及び販売条例の一部を改正する条例   定県第 136号議案 食品衛生法に基づく営業の施設基準等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 137号議案 神奈川県食の安全・安心の確保推進条例の一部を改正する条例   定県第 138号議案 神奈川県法定外公共用財産使用料徴収条例の一部を改正する条例   定県第 139号議案 神奈川県都市公園条例の一部を改正する条例   定県第 140号議案 神奈川県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例   定県第 141号議案 神奈川県流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例   定県第 142号議案 港湾の設置及び管理等に関する条例の一部を改正する条例   定県第 143号議案 神奈川県海岸占用料等徴収条例の一部を改正する条例   定県第 144号議案 神奈川県砂防指定地の管理に関する条例の一部を改正する条例   定県第 145号議案 特定事業契約の変更について(衛生研究所特定事業契約)   定県第 146号議案 指定管理者の指定の変更について(湘南港)   定県第 147号議案 指定管理者の指定の変更について(葉山港)   定県第 148号議案 和解について   定県第 149号議案 和解について   定県第 150号議案 当せん金付証票の発売について   定県第 151号議案 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所定款の変更について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和2年第3回-20201201-028771-質問・答弁-亀井たかつぐ議員-代表質問①AIを使った防災対策について②県立病院における災害対策について③製造業の活性化について④県内農水産業の振興について⑤県の人権施策の方針について⑥指定管理施設のサービスの向上について⑦公立小・中学校におけるいじめ防止について⑧中学校夜間学級の設置について⑨県警察における障害者活躍推進への取組について》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共104名 ○議長(嶋村ただし) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(嶋村ただし) 審議を行います。  日程第1、定県第118号議案 令和2年度神奈川一般会計補正予算外30件を議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  亀井たかつぐ君。  〔亀井たかつぐ議員登壇〕(拍手) ◆亀井たかつぐ議員 議長のお許しを頂きましたので、私は公明党県議団を代表して、通告に従い、提言を交えながら、順次質問をさせていただきます。  知事、教育長並びに警察本部長におかれましては、明快かつ前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  質問に入る前に、一言申し上げます。  新型コロナウイルス感染症は、第2波が収束されないうちに、第3波が上乗せした形となり、感染者数も急増していることから、本県行政には、今は何としても感染拡大に歯止めをかけること、さらには、Withコロナポストコロナの時代を見据えた社会・経済対策を実行することが強く求められています。  とりわけ、本県の現在と将来にとって重要なのが、デジタル化の推進です。  6月の我が会派の代表質問において、行政のDX─デジタル・トランスフォーメーション、すなわちデジタル技術による社会の変革の推進を訴えて以降、CIO兼CDOにLINE株式会社執行役員の江口清貴氏を迎えるとともに、今月1日には、神奈川版デジタル庁とも言える、デジタル戦略本部室を70人規模で編成するなど、推進体制が整えられてきました。  また、デジタル技術を使いながら、暮らしに関わる諸課題を県民目線で解決する体制を強化するために、政策局未来創生課の増員も図りました。  このように、組織づくりが着々と進む中で、私たちが再確認しなくてはならないのは、DXは単にICT化推進の延長線上に実現するものではないということです。  江口氏は、これまでメディアの取材に対し、人々が簡単に行政とアクセスできる関係をつくっていくことや、デジタル化に合わせて、業務そのものを見直していく職員の意識改革こそが重要であること、そして、過去につくったシステムを捨てる決断ができるかどうかが、成功の可否を握るなど、DX推進における重要な指針を示しています。  県民生活に関わるあらゆる分野のデジタル化により、社会が変わり、県民の暮らしがより豊かになる真のDXが、本県において実現するよう、私たちも県当局の皆様と共に、努力してまいりたいと考えております。  それでは、質問に入ります。  〔資料提示〕  質問の第1は、AIを使った防災対策について伺います。  昨今、全国的に甚大な災害が多発する一方、少子高齢化により、人手不足が進む我が国並びに本県においては、防災・減災対策に人工知能─AIを活用することにより、迅速・的確な避難行動や、救援等に要する人手不足解消への支援などが期待されています。  今後、発生が予想される南海トラフ地震等の巨大地震、また、スーパー台風や線状降水帯による豪雨などの被害を極力軽減し、早期復旧を実現するためには、AIや最新のデジタル技術の活用が欠かせません。  本県でも、かながわICT・データ利活用推進計画に基づく防災行政通信網の再整備や、災害情報管理システムの改善、LINE WORKSを活用して県内の消防本部間で災害情報を共有するシステム─Kアラートを整備するなど、災害情報の受伝達体制の充実に取り組んでいますが、デジタル技術が日進月歩の革新を見せる中で、飛躍的なイノベーションが起きる可能性もあります。  例えば、今後、5G環境においては、河川監視カメラの高画質な映像や、水位観測所だけでなく、下水道内などにも設置された水位データを、高密度で即時に収集することが可能になります。  それらの映像やデータをAIが解析し、住民に対して、確度の高い被害予測や危険情報の発信を行うことができるようになります。  また、3月上旬に開設された、東京都の新型コロナウイルス感染症サイトは、発案から1週間で開設というスピード感とともに、掲載データのオープンデータ化ソースコードの公開等で話題を呼びましたが、開設後も、多くの市民エンジニアが参加して、1,000以上のシステム改善に取り組み、市民目線で使いやすいサイトをつくり上げたシビックテックの手法も評価され、同サイトは、今年のグッドデザイン金賞を受賞しました。  〔資料提示〕  この事例は、本県がAIと最先端のデジタル技術を活用することにより、防災・減災におけるDXを実現するに当たり、大いに参考になるのではないかと考えるところです。  そこで、知事に伺います。  防災対策について、これまでどんなデジタル化に取り組んできたのか、また、今後、取り組もうとしているAIを使った防災対策とは、どのようなもので、県民生活にどのように役立つのか、併せて知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第2は、県立病院における災害対策について伺います。  昨年は、台風第15号、19号という大きな台風に襲われ、今年こそは平穏な1年をと願っていた矢先に、新型コロナウイルス感染症という未曾有の危機に直面することとなりました。  本県における新型コロナ対策の一環として、県立病院機構足柄上病院及び循環器呼吸器病センターが、中等症患者を専門的に受け入れる重点医療機関となり、施設のゾーニングや必要な医療従事者と資材の確保など、様々な課題に迅速に対応しながら、患者の治療に当たってきたことと承知しております。  こうした医療現場の状況を知るにつけ、災害も感染症も、危機に際して適切な医療を迅速かつ確実に提供するという課題は同じであり、災害時における診療機能をハード・ソフトの両面から、充実強化する必要があると考えております。  〔資料提示〕  災害拠点病院である県立足柄上病院は、発災時における医療救護活動や、DMATの派遣などの役割を担っておりますが、病院の施設が洪水浸水想定域内にある上、非常用電源設備が地下に設置されているため、浸水時にライフラインの確保に支障が出るのではないかと懸念しております。  また、施設自体が狭く、患者をトリアージするスペースも十分ではないと聞いています。  ソフト面では、災害の発生に備え、業務継続計画─BCPの策定が重要であると考えています。  本来であれば、全ての県立病院においてBCPが策定されるべきでありますが、現時点では、災害拠点機能を有する足柄上病院精神医療センター以外の病院で未策定です。  今後も感染の拡大が予想される中で、県立病院は重点医療機関として診療機能を維持しつつ、新型コロナ感染患者の治療を着実に実施しなければなりません。そのためには、自然災害に対応したBCPに加え、新型コロナに対応したBCPについても、策定していくことが必要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  災害時における診療機能を維持するため、災害拠点病院である県立足柄上病院の浸水対策をどのように講じていくのか、また、県立病院の診療業務継続に向けて、BCP策定にどう取り組むのか、特に新型コロナウイルスに対応する重点医療機関として、どのように整備していくのか、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第3は、製造業の活性化について伺います。  戦後の我が国では、造船、鉄鋼、電機機械、自動車などの製造業が経済成長を支えてきました。平成の時代には、バブルの崩壊やアジア通貨危機リーマンショック等、厳しい状況に向かいながらも、そうした困難を乗り越えてきました。  国内製造業のGDP構成比は約2割と、我が国経済において、依然として大きな役割を果たしており、我が国の人口が減少していく中、海外市場に向け、事業を展開していくことで、さらなる成長も期待できる重要な産業であります。  一方で、中国やアジアなどの新興国の成長により、製造業は厳しいコスト競争にさらされており、今後、難しいかじ取りを迫られています。  〔資料提示〕  事業の収益構造を表すスマイルカーブが示すように、事業の中間工程にある生産・組立は、新興国の追い上げなどにより、付加価値を出しづらくなっています。  そうしたことから、スマイルカーブの両端に位置する上流工程の企画・開発や、下流工程の販売・サービスといった付加価値の高い部分の強化が重要であります。  とりわけ、販売・サービスは、より顧客に近く、その強化は、顧客との密接な接点を生かした、顧客本位の新たな事業展開につながるものとして期待されています。  AIやIoTの導入によって、デジタルデータの利活用が進んでいく中、製造業がより高い付加価値を生み出していくためには、製品の販売後のメンテナンスをデータ収集等により高度化・最適化することや、製品の稼働データを基に、その最適運用を提案することなど、製造業のサービス化を進めていくべきと考えております。  本県の製造業においても、これまで現場で培ってきた技術やノウハウなど、その強みを生かしながらサービス化に取り組んでいくことにより、新たな事業価値が生み出され、経済のエンジンを回す力になると考えています。  そこで、知事に伺います。  県内の製造業のサービス化による県内製造業の活性化に向け、県として、支援すべきと考えますが、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、県内農水産業の振興について伺います。  本県では、都市化が進む中でも、地域の特色を生かした地産地消の農業、水産業が営まれ、新鮮で安全・安心な食料を県内及び近郊の大消費地に供給し、県内経済を活性化させています。また、良好な景観の形成や県土の保全等にも寄与しているところです。  しかし、昨年は、台風第15号、19号がもたらした記録的な暴風雨により、農業、水産業は甚大な被害を受けました。  さらに、今年は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、牛肉やマグロ等の高級食材は、需要が減少し、市場価格が低迷するなど、経営に大きなダメージを受けております。  自然を相手に営む農業、水産業は、今後も、こうした自然災害や感染症等により、大きな影響を受けるおそれがあることが考えられます。  また、生産現場では、依然として、就業者の減少や高齢化が進んでおり、10年前と比較すると、平成30年の農業産出額は1割近く減少し、漁業就業者数も3割近く減少するなど、担い手の減少や高齢化による生産力の低下は、全国同様に、本県でも課題となっております。  〔資料提示〕  こうした中、農業分野では、ICTやロボット技術など、最新のテクノロジーを活用し、農作業の省力化や生産物の高品質化を実現するアグリテックが注目されています。  国は、アグリテックと同義でありますスマート農業をスローガンに掲げ、官民を挙げて取組を進めておりますが、これは本県にとっても重要な政策であると考えます。  また、水産業分野でも、国は適切な資源管理と水産業の成長産業化の両立を目指し、ICTを活用した漁業活動や漁場環境の情報収集等を行うスマート水産業を推進しており、漁獲量が減少傾向にある本県の水産業において、スマート水産業の推進は急務であります。  加えて、本県は、全国に13港しかない特定第三種漁港に指定された三崎漁港を擁していることも踏まえ、例えば、環境農政局の農政部という部署に、水産の2文字を加えることにより、本県水産業の存在感をよりアピールできるのではないかとも思います。  スマート農業・水産業の推進は、生産現場が抱えている担い手不足や生産性の向上などの課題解決と持続的な発展につながります。ぜひ、積極的に取り組み、農業、水産業の構造改革を進めていただきたいと思います。  そこで、知事に伺います。  県内経済や地域の活性化に向け、社会環境の変化やWithコロナ時代にも対応した県内農水産業の振興を図るため、県として、どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、県の人権施策の方針について伺います。  我が国では、憲法において基本的人権を定め、侵すことのできない永久の権利として保障し、国民の不断の努力によって保持しなければならないとされています。  本県では、全国に先駆けて、かながわ人権施策推進指針を策定し、平成25年に改定された指針では、行政、県民、企業、NPO等、多様な主体が協働して、人権が全ての人に保障される地域社会の実現を目指し、人権施策の取組を進めていることは承知しています。  さらに、平成28年には、県議会は、県と共に「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定し、誰もが互いに尊重し合い、差別や排除のない社会づくりを進めることといたしました。  〔資料提示〕  しかしながら、昨今、性的マイノリティへの差別、インターネット上での誹謗中傷、そして、新型コロナウイルス感染症に起因する患者や医療従事者への偏見、差別といった、新たな人権課題が発生しています。  このような人権課題は、現在の指針における分野別位置づけでは、子ども、女性、障害者など10の分野の施策には入っておらず、様々な人権課題の一つとして触れられている程度です。  近年の社会情勢の大きな変化を鑑みますと、新たな人権課題に対する県の姿勢を明確にし、どのように取り組んでいくのかを示す必要があり、指針は見直しの時期に来ているのではないかと考えます。  また、様々な人権問題については、県だけではなく、国や市町村がそれぞれ相談体制をつくり、取り組んでおりますが、偏見や差別といった人権問題に悩んでいる県民が、どこで相談できるのかを分かりやすく案内する等の取組を進めることが大切です。  さらに、社会情勢の変化を引き続き注視しつつ、条例の制定を視野に入れた検討も必要であると考えております。  そこで、知事に伺います。  新たな人権課題が大きな社会問題となっている中、県は、偏見や差別をなくすという人権尊重の理念を実現していくために、今後どのような姿勢で臨むのか、しっかりと示し、実効性のある取組を進めるべきだと考えますが、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第6は、指定管理施設のサービスの向上について伺います。  指定管理者制度は、民間のノウハウを活用しつつ、サービスの向上と管理経費の節減を目的として導入されたものです。  本県では、平成17年度に制度を導入して以来、15年が経過しています。指定管理者による管理運営を継続していく中で、指定管理施設について、利用者や地域住民の方から、施設への要望が直営であった頃と比べて通りにくい、また、指定管理者に管理運営についての要望を伝えても、県が決めることだから対応できないと言われてしまい、どこに要望を伝えていいか分からないという声を聞くことがあります。  指定管理者は、県から施設の管理運営を任されている立場であり、当然、その権限は限られています。施設のサービスの向上のために、利用者や地域住民の方々の要望を施設の管理運営に生かしていくのは、設置者である県の責務であると考えます。  県は、指定管理者選定の際には、サービスの向上のために、地域と連携した魅力ある施設づくりを含め、幅広い視点から事業者の提案を求め、事業者の評価の際には、施設利用者や有識者等の意見を聴き取るなどしています。  また、指定管理者が取り組んできた成果や、それに対する県の評価について、県のホームページで公表していることも承知しています。  〔資料提示〕  しかしながら、冒頭申し上げたように、施設の利用者や地域住民の方々の願いは、県とのコミュニケーションのさらなる充実です。ぜひ、施設の改善への要望などを積極的に酌み取る環境を整備し、サービスの一層の向上に努めていただきたいと思います。  そこで、知事に伺います。  県は、指定管理施設のサービスの向上を図るために、県のマネジメントを県民の身近な情報として提供できるよう、どのような見える化の工夫を行っていくのか、知事の所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第7は、公立小・中学校におけるいじめ防止について伺います。  先日公表された国の調査によると、令和元年度に全国で認知された小中学校におけるいじめの件数は約59万1,000件で、前年度に比べて約6万8,000件増加し、過去最多となっております。  このうち、本県の公立小中学校で、令和元年度に認知されたいじめの件数は約2万8,000件で、前年度より、約3,000件増加し、国と同様に過去最多でありました。特に、公立小学校の増加が顕著で、前年度から約13%の増加となっております。  いじめの問題については、平成25年に成立した、いじめ防止対策推進法に基づき、認知するべきものは適切に認知し、対応する必要があります。  国は、いじめの認知件数が多い学校について、いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取組のスタートラインに立っていると極めて肯定的に評価しています。  確かに、いじめを認知し、適切に対応することは大切でありますが、いじめにより、つらい思いをする子供を一人でも少なくするためには、未然防止の取組が重要であることは言うまでもありません。  このいじめの未然防止に関しては、いじめをする子供だけでなく、傍観者と呼ばれる、周りにいる子供に焦点を当てた学習があります。それがフィンランドのいじめ対策プログラム─KiVaであります。  〔資料提示〕  K・i・V・aと書いて「KiVa」。スワヒリ語で絆を意味するこのプログラムは、周りの子供が、明らかにいじめに加担していなくても、傍観者として周囲で見ているだけで、いじめを助長していることになる点に着目し、この傍観者が、いじめを受けている子供を守る態度を示すことで、いじめる側が力を持たなくなることを学ぶといった、傍観者に焦点を当てた取組であります。  このような取組を積み重ねることで、集団の中で、いじめの起きにくい風土が培われ、いじめの未然防止につながると考えられています。  本プログラムについては、イタリア、オランダ、イギリス等でも実践している学校があり、それらの学校では、いじめが減少するとともに、学業成績、学校への満足度、学習への意欲の向上にもつながったと聞いています。  我が国においても、世田谷区教育委員会が本プログラムの考え方を取り入れた取組を行っています。具体的には、授業の中で、いじめの事例を取り上げ、その中で、いじめの傍観者に注目し、傍観者の立場から子供たちが意見を述べ、いじめ問題を考えるといった取組であります。  その後、日常の学校生活を通じて、いじめている子供を注意する、いじめを受けている子供の相談に乗るという行動が見られるようになったとの成果を聞いております。  また、いじめは、大人に見えないこともあるため、子供同士でいじめを防止する力をつけるためには、本プログラムの考え方を取り入れ、実践していくことは重要であります。  県教育委員会では、いじめの未然防止について、様々な取組を行っていることは承知しておりますが、加えて、傍観者に、より焦点を当てた取組を進めていただきたいと考えております。  そこで、教育長に伺います。  公立小中学校におけるいじめ防止対策の一環として、いじめの傍観者に焦点を当てた取組について、教育長の所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第8は、中学校夜間学級の設置について伺います。  これまでも本議会において、我が会派が繰り返し取り上げてきた、いわゆる夜間中学です。  この夜間中学については、平成28年に、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律が施行され、全ての地方公共団体に、夜間中学における就学機会の提供等の措置を講ずることが義務づけられました。  〔資料提示〕  以降、全国各地で新たな夜間中学の設置に向けた動きが活発化しており、来年度には、高知県と徳島県において、県立の夜間中学が開設されることも承知しています。  夜間中学は、本県にも多くいらっしゃると考えられる、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校等により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方などにとって、義務教育相当の教育機会が提供される重要な場です。  また、本県にお住まいの外国籍の方にとっても、貴重な学びの場になることが考えられます。  これまで、県教育委員会では、横浜市と川崎市にある夜間中学に続く、県内3校目の設置に向けて、市町村教育委員会と共に検討、協議を進めてきたと承知しております。  その間、平成29年度に県教育委員会が実施した夜間中学のニーズ調査結果において、特に相模原・県央地域でのニーズが高い状況が見られたこと等を踏まえ、相模原市教育委員会によって、市立の夜間中学設置の検討が始まりました。  そして、去る11月27日、相模原市議会において、市の教育長が、県教育委員会と連携し、他市町村からも生徒を受け入れる広域的な夜間中学について、令和4年4月の設置を目指すと表明しました。  こうした状況を踏まえ、県教育委員会としても、相模原市の夜間中学開設に向けて、広域的な仕組みを関係の市町村教育委員会と共に具体化していくこと、また、これまでも検討してきている県立高校施設の活用等について、取組を進めていくことが必要であると考えております。  そこで、教育長に伺います。  相模原市の動きも踏まえ、今後、県教育委員会として、相模原市の夜間中学の設置に向けて、広域的な仕組みづくりや県立高校施設の活用を含め、具体的にどのように進めていくのか、教育長の所見を伺います。  〔資料提示〕  私の最後の質問は、県警察における障害者活躍推進への取組についてです。  平成30年8月に、国及び地方公共団体の機関において、障害者雇用率制度の対象となる障害者の計上誤りが判明しました。  本県も例外ではなく、知事部局をはじめ、教育委員会、警察本部において、同様の誤りが発覚しております。  当然、議会においても厳しい議論が起こりましたが、その中で、私自身、気づかされたことがあります。それは、特に教育や警察の現場においては、障害者を雇用する余地に乏しいという、自らの先入観、それです。  学校や警察は、施設のバリアフリー化が遅れているから駄目、特に警察は体を張る仕事、常に危険と隣り合わせ、業務上、県民の生命に直結する機密事項を取り扱うことも多く、これらの仕事は、障害者には適さないという思い込みがありました。  しかし、国の障害者活躍推進計画作成方針に従って、本県の知事部局、教育委員会及び警察本部の各任命権者が策定した障がい者活躍推進計画においては、達成すべき数値目標としての障害者雇用率のほか、障害者である職員の活躍を推進するための体制整備等、障害者がその能力を発揮し、生き生きと活躍できる場を創出することが求められています。  〔資料提示〕  先日、県警察のホームページで、障害者採用で神奈川県警察事務職員となった方のコメントを見つけましたので、紹介したいと思います。  「前職では、民間企業に務めていましたが、最前線で活躍する警察官と一緒に働くことで、治安を守る警察業務の一端を担うことができると思い警察事務職員を志望しました」。また、「子供の頃から警察官に憧れていました。大学のゼミで犯罪統計についての話を聞くため、警察署を訪問したことがきっかけとなり、あらためて警察の仕事に興味を持ちました。「少しでも警察に関わる仕事がしたい」、「警察事務職員という立場から県民の役に立ちたい」と思い、警察事務職員を志望しました」というものです。  県警察においては、本年6月1日現在では、昨年同時期と比べ0.46ポイント改善したとはいうものの、法定雇用率を下回っていた障害者雇用率が、10月1日現在では、法定雇用率を上回ったという報道がありました。  今後も、今、紹介したような一青年の志をしっかりと受け止める採用活動と、職場づくりの継続に努めていただきたいと思います。  そこで、警察本部長に伺います。  障害者の計画的な雇用に向けて、県警察はこれまでどのように取り組んできたのか、また、障害者の活躍推進に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、警察本部長の所見を伺います。  以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。  御清聴、誠にありがとうございました。                               〔拍 手〕  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 亀井議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、AIを使った防災対策についてお尋ねがありました。  県では、昨年度、組織・チームのためのコミュニケーションツールであるLINE WORKSを活用して、県と県内消防本部が瞬時に情報共有できるシステムとして、Kアラートを構築し、かながわ消防の初動対応力を強化しました。  また、今年度からは、災害時に住民がSNSで発信する数多くの情報から、AIがその内容を解析して、情報の重要性や真偽を判断し、リアルタイムに配信するサービスを試行的に導入しています。  今後は、発災前から、復旧・復興期に至るまで、SNSやAIチャットボットなどのデジタル技術を活用した避難者からの情報収集や、避難者への情報提供・支援の取組をさらに進めます。  具体的には、AIを活用することで、火事が起きている、けが人が何人いる、防寒着が欲しいといった情報を、24時間、いつでも迅速に収集することが可能となり、被害状況等を、迅速かつ容易に見える化することができます。  また、これらの情報を基に適切な対応を指示したり、必要とされる物資を届けるなど、被災地のニーズに即応することができます。  こうした効果が見込めるため、本県では、このようなAI防災により、DX─デジタル・トランスフォーメーションに関する先行実証モデルを実施していきたいと考えています。  この取組については、先般、平井デジタル改革担当大臣や、小此木防災担当大臣、河野行政改革担当大臣に対して、理解と協力を求め、受け止めていただいたところであります。  今後とも、国や市町村と連携しながら、本県が取り組むDXの先駆けとして、AI防災に積極的に取り組んでまいります。  次に、県立病院における災害対策についてお尋ねがありました。  県立病院は、本県の医療救護活動の拠点として、災害時においても診療機能を維持し、多数の負傷者に対し、迅速に救護活動を行う役割を担っています。  このため、日頃から、ライフラインや情報システムの整備、医薬品、燃料等の備蓄を進めるとともに、訓練を通じて、災害時の対応力を強化しています。  しかしながら、災害拠点病院である足柄上病院は、敷地の一部が、洪水ハザードマップで最大3メートルの浸水区域に位置しているため、浸水により、非常用発電設備が稼働しないおそれや、施設の老朽化、狭隘化が進んでいるという課題があります。  そこで、県立病院機構では、今後、老朽化した施設の計画的な修繕、整備に向けた調査を行い、非常用発電設備の上層階への設置のほか、災害発生時にトリアージや患者の収容を行えるスペースの確保について、検討していくこととしています。  また、災害時には、診療業務を維持、継続するための体制整備が重要となることから、県は、県立病院機構の全ての病院に業務継続計画、いわゆるBCPを策定するよう、第三期中期目標において指示していますが、ここ数年、自然災害が頻発していることから、今年度中の策定を求めていきます。  さらに、自然災害と同様、新型コロナウイルス感染症についても、感染拡大時における院内感染防止対策、ゾーニング計画など、診療を維持していくための体制整備が重要です。  特に、重点医療機関である足柄上病院循環器呼吸器病センター精神医療センターの3病院では、これまでの新型コロナの診療経験を踏まえたBCPの策定が求められます。  そこで、この3病院については、新型コロナのBCPを今年度中に策定するよう、病院機構に要請し、各病院の速やかな策定につなげていきます。  県は、県立病院が、激甚化する風水害、さらには新型コロナウイルス感染症など、未曾有の危機においても、県民の命を守る拠点として、役割を果たせるよう、引き続き、県立病院の災害対策を支援してまいります。  次に、製造業の活性化についてお尋ねがありました。  本県の製造業は、県内総生産の約2割を占めており、また、従業者1人当たりの付加価値額も大きく、県経済において重要な役割を果たしています。  こうしたことから、県内経済の成長には、製造業が、その競争力をさらに強化していくことが必要です。  1980年代までの製造業は、ハードウエアを造り、それを売ることで利益を得るビジネスモデルが中心でした。90年代になると、ソフトウエアを開発した企業が大きな利益を得るようになり、現在では、IT技術の発展に伴い、商品・サービスの利用データを活用して事業を展開した企業が、莫大な収益を上げています。  今年7月、EVを製造するアメリカのテスラの株式時価総額が、トヨタを超えたという報道がありました。テスラは、車を販売して終わるのではなく、販売した車から走行データを蓄積し、開発に生かすとともに、搭載したソフトウエアを更新することで、車の性能向上を図っていきます。  また、トラブル発生時に、オペレーターが最適なアドバイスを行うリモート診断などを行っています。  このように、製造業がさらに成長していくためには、IT技術を生かし、現場から収集したデータを活用して、顧客のニーズにマッチしたサービスを提供する、製造業のサービス化が重要であります。  そこで、今後、例えば機器の稼働状況をデータから分析して、不具合が生じる前にメンテナンスを行うサービスなど、県内企業がIT技術を活用して、製造業のサービス化を図るプロジェクトを募集し、その開発を支援したいと考えています。  こうしたことにより、製造業のさらなる成長を促し、県内経済の活性化を図ってまいります。  次に、県内農水産業の振興についてお尋ねがありました。  都市近郊で農水産業を営む本県は、大消費地に近いという強みを生かして、新鮮な農水産物を供給しており、それが地域の活性化につながっています。  現在、県では、農水産業振興の課題となっている、担い手の減少や高齢化に対応するため、ICTやロボット技術等を積極的に活用して、作業の省力化や負担軽減を図っています。  例えば、農業では、ドローンの撮影画像から、農作物の生育状況を見るセンシングや、ICTによる複数の温室の環境自動制御の技術開発を進めています。  また、水産業では、水中ドローンで、定置網の破損状況や、沿岸の魚類・海藻類の調査を行っています。  今後、農水産業の基盤を強化し、自然災害やWithコロナ時代にも対応していくためには、農業と水産業のスマート化を強力に推進し、生産力の向上を図る必要があります。  そこで、県では、新たに、かながわスマート農業・水産業推進プログラムを策定し、目指す将来像や目標を定めてロードマップを示し、生産現場への技術導入を進めます。  このプログラムに基づき、農業では、梨の収穫ロボット等の実用化を加速させるとともに、水産業では、現在、検討中の相模湾での大規模外洋養殖事業でも、スマート化を図ります。  具体には、ICTとAI技術を組み合わせた、魚の遠隔監視システムや、餌の自動供給システム等を整備し、経験者の勘に頼ることなく、生産量を安定的に確保できる養殖業を拡大し、水産業の構造転換を目指します。  さらに、これらの実現の道筋が立った際には、県の組織名称の見直しを含め、本県水産業の成長産業化をアピールできるような手法について、検討していきたいと考えています。  県としては、社会環境の変化や、Withコロナ時代にも対応できるよう、スマート化の推進により、農水産業の振興を図り、県内産業の活性化につなげてまいります。  次に、県の人権施策の方針についてお尋ねがありました。  人権は、全ての人が生まれながらに持っている権利であり、互いの人権を認め合い、偏見や差別がない社会づくりが重要です。  県では、ともに生きる社会かながわ憲章の理念の普及や、かながわ人権施策推進指針に基づき、人権課題の解消に、全庁を挙げて取り組んでいます。  しかしながら、近年、インターネット上の誹謗中傷、性的マイノリティーへの偏見や差別、コロナ禍における医療従事者等への差別といった、様々な形の人権侵害が発生しています。  このため、県では、ホームページやSNSを活用して、人権の大切さの普及啓発を強化するほか、インターネットの誹謗中傷に苦しんでいる方の救済・支援のため、弁護士相談を今年度中に開設するなど、実効性のある取組を進めています。  今後、さらに具体的な取組を進めるに当たっては、現在の人権をめぐる様々な状況を踏まえて、県の姿勢を明確に示す必要があります。  そこで、かながわ人権施策推進指針の令和3年度中の改定を目指して、かながわ人権政策推進懇話会をはじめ、議会や県民の皆様の御意見を伺いながら、改定作業を進めていきます。  改定に当たっては、社会状況の変化に合わせた内容の見直しや、性的マイノリティーやコロナ禍における差別といった、新たな人権課題についても明確に指針に位置づけ、対応方針を打ち出します。  また、県民が相談や支援に関する情報を速やかに得られるよう、指針に基づく県の取組の周知と併せて、国や県、市町村等の相談窓口の広報にも取り組んでいきます。  さらに、目まぐるしい社会情勢の変化に対応しつつ、先々に生じるであろう課題も見据えて、既に条例を制定している自治体の状況や、国の動向を注視し、有識者等の意見を伺いながら、条例の検討に取り組んでいきます。  県では、人権が全ての人に保障され、互いに尊重し合う、ともに生きる社会かながわの実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。  最後に、指定管理施設のサービスの向上についてお尋ねがありました。  指定管理者制度は、公の施設における住民サービスの向上と経費の節減を目的とした制度であり、指定管理業務を請け負った事業者は、施設の管理者として、民間のノウハウを活用して、効果的・効率的に施設の管理運営を行う役割を担っています。  一方、県は、施設の設置者として、指定管理者制度の目的に沿った適正な管理運営が行われているかをマネジメントする役割を担っています。  具体的には、県は、指定管理者が行う利用者の満足度調査結果の評価や分析、苦情・要望、事故・不祥事への対応状況の確認といったモニタリングを行うとともに、指定管理者に必要な指導を行っています。そして、モニタリングの結果は、県のホームページで公表し、見える化も図っています。  また、施設内には、指定管理者だけでなく、県の連絡先も併せて表示し、利用者や住民の方々から頂いた御意見については、指定管理者と情報共有し、施設運営の改善に生かしています。  このように、県では、マネジメントの状況を見える化し、利用者等の声を生かした施設運営にも努めていますが、一方で、多くの方々は、施設に関する情報を収集する際、県のホームページよりも、当該施設の指定管理者が作成しているホームページを閲覧している状況があります。  指定管理施設のサービス向上に向けては、さらに多くの皆様に、県の取組を知っていただく一層の工夫が必要であり、頂いた声を施設運営に反映していくことが重要です。  そこで、今後は、モニタリングの結果など、県のマネジメントに係る情報を、県のホームページだけでなく、施設のホームページからも直接閲覧できるよう、速やかに指定管理者に働きかけてまいります。  このように、県のマネジメントに係る情報を一層、見える化し、多くの御意見、御要望が県に届きやすくすることにより、施設のサービスが向上するよう、しっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  公立小・中学校におけるいじめ防止についてです。  いじめは、全ての児童・生徒に関係する問題です。いじめを行わないことはもちろん、いじめと分かりながら、何もしない傍観者とならないためには、児童・生徒の誰もが、いじめは決して許されない行為であることを、十分に理解することが必要です。  こうした考え方を、県教育委員会では、平成30年度に作成した児童・生徒指導ハンドブックに盛り込み、市町村教育委員会と連携し、教員研修等を通じて周知してきました。  また、児童・生徒がいじめについて、自分の事として考え、対話や議論を行う「いのちの授業」を各学校で推進しています。  しかし、依然として、いじめに悩む多くの児童・生徒がいます。私としては、これまでの取組に加え、議員お話しの、傍観者に焦点を当てたKiVaプログラムなどの考え方を取り入れ、さらに、いじめ防止対策を強化していくことが必要と認識しています。  そこで、傍観者にならないために、いじめかもしれない場面で、どのように行動すればよいのか、具体的な場面を想定し、児童・生徒が話し合う活動等の取組例をまとめた教員用の指導リーフレットを、今年度中に作成します。  そして、このリーフレットを全県指導主事会議等の場で周知するとともに、小中学校の児童・生徒指導を担当する教員向けの研修等で活用するなど、より一層いじめ防止対策の推進に取り組んでまいります。  次に、中学校夜間学級の設置についてです。  中学校夜間学級、いわゆる夜間中学は、不登校やひきこもり、外国籍の子供など、多様な生徒が共に学び、成長していく場として、その設置が望まれています。  これまで、県教育委員会では、相模原市教育委員会等と夜間中学の設置の時期や場所、さらに、県立高校の施設の活用や、他の市町村から生徒を受け入れる広域的な仕組みづくりについて、検討、協議を重ねてきました。  こうした中、去る11月27日に、相模原市議会において、市の教育長から、夜間中学について、令和4年4月の開設を目指していくこと、また、市域外からも生徒を受け入れる広域的な仕組みとなるよう、引き続き、県教育委員会と調整していく、との考えが明らかにされました。  県教育委員会としては、こうした市教育委員会の意向を十分に踏まえ、令和4年4月の県内3か所目の夜間中学の開設に向けて、関係市町村教育委員会と、広域的な仕組みづくりに伴う教員配置や費用負担など、具体的な検討、調整を進めてまいります。  また、設置場所については、市域外からも生徒が通いやすい市南部の相模大野地区が望ましいと考えています。しかし、同地区の中学校には、現時点で、夜間中学として活用できる施設が見いだせないのが実情です。  こうしたことを考慮し、県教育委員会では、当分の間、小田急線相模大野駅から徒歩圏内にある県立神奈川総合産業高等学校の施設の一部を、相模原市立の夜間中学として活用できるよう、検討してまいります。  以上でございます。  〔警察本部長(大賀眞一)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 大賀警察本部長。 ◎警察本部長(大賀眞一) 県警察における障害者活躍推進への取組についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり、障害者雇用率の算定に当たって、障害者の計上に誤りがあったことが、平成30年に全国的に判明したところでありますが、県警察においても、対象外とされる警察官を算入していたことが判明し、再点検の結果、平成29年の障害者雇用率は法定数値を下回っていたということが明らかとなりました。  県警察においては、こうした誤りの判明後、いわゆる障害者雇用促進法の一部改正に基づき、令和2年3月31日付で、神奈川県警察障がい者活躍推進計画を策定いたしました。  同計画においては、今後、令和7年3月31日までに、県警察における障害者の雇用率を3%まで引き上げるとの数値目標を掲げ、障害者の計画的な雇用を進めることとしております。  また、本年4月1日付で、障害者である職員の採用、人事等の取組を専門的に行う障害者活躍推進係を警察本部警務課に新たに設置するなど、体制の整備を図りました。  さらに、本年10月1日付で、警察本部内に、全国警察2例目となる神奈川県警察チャレンジオフィスを開設し、新たに3人の障害者を雇用し、民間企業等への正規就労を目指す取組を開始したところであります。  その結果、本年10月1日時点の県警察における障害者雇用率は、法定の2.5%を上回る2.54%となったところであります。  障害者である職員を含め、全ての職員一人一人が、共に多様性を理解・尊重し合い、生き生きと働くことができる職場づくりは、極めて重要であります。  県警察としては、今後とも、障害者の計画的な雇用に取り組むとともに、チャレンジオフィスの効果的な運営に努め、一人でも多くの障害者が働きがいを持って就労できるよう、取り組んでまいります。  また、障害者である職員や、その上司、同僚に対して、定期的なヒアリングを行って、要望、意見等を聴取し、必要な資機材の購入等による職場環境改善など、働きやすい環境の整備にも努めて、障害者の職場への定着や離職を防ぐための取組にも力を入れてまいります。  以上でございます。  〔亀井たかつぐ議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 亀井たかつぐ君。  〔亀井たかつぐ議員登壇〕 ◆亀井たかつぐ議員 知事、教育長、そして警察本部長、前向きな御答弁、本当にありがとうございました。  各御答弁の中で、しっかりとお尻を決めていただいて、いつまでにということで御答弁を頂いたのですが、1点、ちょっと確認させていただきたいのは、県内農水産業の振興についてということで、知事からは、かながわスマート農業・水産業推進プログラムの策定だということでした。  これは、いつまでにやるのかということを再度確認したいのです。というのは、その策定があって、それとともに行動することによって、知事もおっしゃっていただきましたように、県の組織体制の変更にもつながるのかと思いますので、大事な締切りだと思いますので、そこはいつになるのか、再度確認させてください。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  かながわスマート農業・水産業推進プログラム、これにつきましては、生産者や生産者団体など、関係の皆様、そして県議会から御意見を頂いた上で、来年度末までに策定したいと考えております。  答弁は以上です。  〔亀井たかつぐ議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 亀井たかつぐ君。  〔亀井たかつぐ議員登壇〕 ◆亀井たかつぐ議員 知事、ありがとうございました。  来年度末にプログラム策定ということで、御答弁を頂きました。  私も今、三浦半島で活動しているのですが、水産業が衰退しているというふうに実感していますので、農政部のところに、例えば農水産部とかという話になると、またそれは一つの水産業に対してのアピールになるかなと思って質問させていただきましたので、ぜひ前向きに御検討いただければ、そのように思います。  時間が少しありますので、要望等を申し上げたいと思います。  まずは、県立病院における災害対策についてです。  これは、ハード整備として、足柄上病院の地下にある電気施設に関しては、今、災害拠点病院ですから、災害のときに使えなくなってしまったというのでは話になりませんので、これは早急にやっていただかなければいけない、そのように思います。  また、新型コロナに対してのBCPも、しっかりといつまでに作成するということで、お話しいただけたと思いますので、ぜひこれも進めていただきたい、そのように思います。  県の人権施策に関しては、知事から、人権の条例の策定検討というところまで来ました。神奈川県としての姿勢というか、立ち位置というか、それはこれからしっかりと表明していく時期かなと、そのように思います。  いろいろな人権侵害が横行する中で、神奈川県はこうなんだということを、アピールすることが大事ではないかと思います。  例えば、三重県のLGBTのアウティングの条例、これは皆さん御存じのとおり、LGBTの方に対して、他の方がアウティングをするということに関しては、これは故意とか、故意でなくても駄目なんだということは、この条例は罰則はないのだけれども、今、全国区になって、こういうことを改めていかなければいけないという、ある意味での実効性があるのですね。  ですから、そういうことも踏まえて、条例の策定ということを検討していただきたい、そのように思います。  また、教育に関しては、夜間中学に関してです。  教育長から、県立神奈川総合産業高等学校の施設の一部を夜間中学として活用するという、学校名まで言っていただきました。  この学校というのは、私の記憶が確かならば、定時制のある学校です。定時制のある学校ですから、定時制の生徒と夜間中学に通う生徒が、お互いに切磋琢磨するというか、交流して、相乗効果を生んで、お互いにウィン・ウィンの形でしっかりと学習できれば、これは全国に範を示すような夜間中学になる、そのように確信しておりますので、そこも踏まえて、この夜間中学の設置について、しっかりと検討していただくことを要望しまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。 ○議長(嶋村ただし) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(嶋村ただし) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後2時6分 休憩        ───────────── ◇ ─────────────
    △《本会議録-令和2年第3回-20201201-028772-質問・答弁-曽我部久美子議員-代表質問①新型コロナウイルス感染症への取組について②未来を担う子どもへの施策について③職場環境の整備について④5Gの環境整備を踏まえた産業振興の取組について⑤神奈川県国民健康保険運営方針の改定について》                   午後2時25分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共95名 ○副議長(いそもと桂太郎) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(いそもと桂太郎) 質問を続行いたします。  曽我部久美子君。  〔曽我部久美子議員登壇〕(拍手) ◆曽我部久美子議員 議長のお許しを頂きましたので、私は、かながわ県民・民主フォーラム県議団を代表いたしまして、通告に従い、順次質問させていただきます。  知事並びに警察本部長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願いいたします。  長引く、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、自身も感染リスクを抱えながら、県民の命を守るため、昼夜を問わず、御尽力を頂いております医療従事者並びに全ての関係者の皆様に、心から感謝を申し上げ、質問に入ります。  〔資料提示〕  質問の第1は、新型コロナウイルス感染症への取組について、2点伺います。  初めに、新型コロナウイルス感染症に関する法的措置について伺います。  新型コロナウイルスの感染が全国で拡大しており、本県においても、これまでにない勢いで、感染者の数が急激に増えています。これから本格的な冬を迎え、このまま感染の勢いが止まらない場合、再び社会経済活動にブレーキをかけることになるのではないかと、強い危機感を持っています。  既に感染が再拡大しているヨーロッパでは、春に続き、2度目のロックダウンに踏み切っている国もあります。  また、国内でも、感染拡大の著しい、東京並びに北海道や大阪などでは、繁華街の飲食店などを対象に、営業時間の短縮を要請する事態となっています。  〔資料提示〕  一方で、既に御承知のとおり、新型インフルエンザ等対策特別措置法、いわゆる特措法には、要請に対する補償等が位置づけられておりません。  また、さきの緊急事態宣言下における状況からも、休業要請などの実効性の懸念は明らかです。  加えて、特措法と並んで、新型コロナウイルス感染症対策の基本となる感染症法についても、保健所の調査や療養指示に対する強制力がないことや、県と保健所設置市との情報共有についての規定がないなど、様々な課題があると承知しています。  これらを踏まえ、全国知事会は、繰り返し国に是正を求めています。さらには、新たに東京都や福岡県などで、独自に罰則を設ける条例制定の動きがあります。この問題については、6月の定例会において、我が会派から知事に見解を伺ったところですが、いまだ法改正に向けた具体的な動きが見えてきません。  法を整備するのは国であり、国の責任において、補償的な措置や強制力を伴う対応など、十分な議論が必須です。既に感染の波は待ったなしの状態であり、このまま制度の根幹を曖昧にしたままでは、以前と同じことを繰り返すことになります。  そこで、知事に伺います。  再び感染が急激に拡大する中、新型コロナウイルス感染症に対し、実効性のある対策を講じていくためには、国に対して、速やかな法的措置の整備を求めるべきと考えますが、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、新型コロナウイルス感染症陽性患者に係る宿泊療養施設について伺います。  新型コロナウイルス感染症については、11月18日に、県内の新規の感染者数が200人を超え、先日の26日には、1日当たりの陽性患者数が253人に達し、いまだに増加傾向が続いています。  県では、11月27日に新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催し、入院基準の見直し等の対応をしていることは承知していますが、いまだに先の見えない状況に対して、大いに危機感を抱いています。  一方、このような中、オンラインやテレワークなどの新しい働き方が採用され、東京ではなく、郊外を居住地に選ぶ人が増えているとのことです。  先日、東京の転出超過が進み、その転出先として神奈川県が一番多く選ばれ、新たに4万4,000人以上が本県に転入するという報道がありました。  コロナの感染を避けたいというだけなら、もっと地方を選ぶのではないかと思われますが、あえて、隣県の神奈川県が選ばれているのは、神奈川の魅力が評価されていると同時に、このコロナ禍において、県の感染防止対策が一定程度、評価されているのではないかと思います。  そうした評価できる取組の一つが、全国に先駆けて県が始めた、軽症や無症状の患者の宿泊施設での療養です。  〔資料提示〕  県では、医療提供体制「神奈川モデル」を構築し、人工呼吸器等が必要な重症患者や呼吸管理が必要な中等症の患者のための病床を確保すると同時に、宿泊療養施設の整備を行ったことで、どういう症状であっても、きちんと適切な居場所を与えてもらえるという印象を得られたものと考えます。  実際、8月の初めまでは、県は、アパホテル&リゾートという2,000室を超える大規模ホテルを確保していたことで、かなり安心感があったと思います。  しかし、ホテルの規模を小さくし、数か所の施設での運営となったり、また、先日の報道にもあったように、宿泊療養施設の一つ、湘南国際村センターにおいて、県から随意契約で運営を委託された業者が、承認がないのに、別業者に再委託していることが判明したりなど、不安な要素も見えてきました。  さらに、現在、いわゆる第3波と見られる感染拡大が続いていますが、県の日々の発表によれば、年代や性別や感染経路などに特徴がないものの、やはり、新規感染者の多くは、軽症や無症状のように見受けられ、つまりは、入院せずに、自宅や宿泊施設で療養する患者は、さらに増えていくと考えられます。  そうした場合に、今、確保している宿泊療養施設で十分なのか、また、療養者が療養生活を安心して過ごし、体調回復を促すための必要なサポートがきちんとされていくのか、懸念されます。  そこで、知事に伺います。  今後のさらなる感染拡大に向けて、軽症者等の宿泊療養施設の確保について、どのように取り組んでいくのか、また、宿泊施設や自宅での療養者の支援として、県としてどのような取組を行っているのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第2は、未来を担う子どもへの施策について、2点伺います。  まず、不払い養育費の確保に向けた支援について伺います。  近年、離婚件数は、ピーク時からは下降したものの、依然として、20万件程度と高止まりしている状況です。  夫婦が離婚し、子供がいる場合は、子供の生活の経済的な安定のためにも養育費の確保は重要です。  離婚により親権者でなくなった親は、養育費、つまり、子供を監護・教育するために必要な費用を、原則負担することになりますが、子供を養育することになった親に対し、必要な養育費を支払わない、いわゆる不払い養育費が大きな問題となっています。  養育費の確保については、会派として、昨年も本会議にて質問させていただいており、知事からは、独り親家庭の生活全般の相談を行う、母子・父子自立支援員への研修実施や、養育費相談の回数の増加、県内複数の場所での相談会の実施など、前向きな御答弁を頂いたところです。  独り親、とりわけ母子世帯の生活は非常に厳しい状況であり、平成28年国民生活基礎調査によれば、稼働所得に手当や仕送りなどを加えた総所得は、児童のいる世帯全体では、707万6,000円であるのに対し、そのうち母子世帯は、270万1,000円と約4割にとどまっています。  〔資料提示〕  また、平成28年度全国ひとり親世帯等調査によれば、離婚した母子世帯のうち、養育費を現在も受けている世帯が24.3%と、僅か4分の1にとどまっており、生活が厳しい要因の一つと考えられます。  このような中、今年4月に施行された改正民事執行法により、不払いの養育費がある場合、公正証書などの作成により、相手方の財産の調査が可能となり、差押えが、よりしやすくなりました。  〔資料提示〕  国においては、今年6月に、不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォースが設置され、検討課題や今後の取組などの整理が行われています。  しかしながら、民事執行法が改正され、養育費の確保がしやすくなったことについては、なかなか知られておらず、養育費を受け取れる世帯を少しでも増やしていくためには、例えば、離婚届を受け付ける窓口などにおいて、周知を進めていくことが必要であると考えます。  そこで、知事に伺います。  不払い養育費の確保に向けた支援をするため、新たな制度の周知が必要と考えますが、県として、どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、児童相談所における外国籍県民等への支援について伺います。  今年3月に改定された、かながわ子どもみらいプランによると、県内の在留外国人の子供の数は、平成26年の2万1,903人から、平成30年には2万7,161人となっており、増加傾向にあります。  我が国は、少子高齢化による労働力不足へ対応するため、政策として、外国人労働者の受入れを進めているところであり、今後も、ますます外国籍県民等が増えていくことが想定されます。  これに対し、本県でも、外国籍県民等が暮らしやすい環境づくりに向け、多言語による情報提供や労働相談ほか、教育相談、法律相談など、相談窓口の充実や日本語講座の実施など、相談支援に取り組んできたことは承知しています。  しかし、このコロナ禍においては、外国人労働者の親子の困窮が深刻さを増しており、失業や収入減で、毎日の食事にも事欠く親子も少なくなく、成長期の子供に及ぼす影響が懸念されるとの報道もあります。  〔資料提示〕  このような状況下において、外国籍県民等が子供の養育に困ったときに、必要な情報をタイムリーに、また正確に得ることができなかったり、困っていても、どこにどう相談すればよいのか分からないといった、情報弱者に追い込まれている実情もあるのではないかと思います。  もとより、そうした相談は、基礎自治体である市町村が、一義的な窓口であることは承知していますが、適切な支援が受けられないことにより、虐待につながるおそれもあるため、児童相談所がタイミングを逃さずに関われることが重要です。  コロナ禍である今、外国籍県民等が、児童相談所の相談窓口にタイムリーにつながり、安心して相談できることの必要性が、より一層増していると考えます。  そこで、知事に伺います。  児童相談所において、外国籍県民等への支援について、今後どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第3は、職場環境の整備について、2点伺います。  まず、警察職員のメンタルヘルス対策について伺います。  近年、仕事や職業に関して、強い不安やストレスを感じている労働者の割合及び心の健康障害での通院者は、高い数値で推移しており、心の健康問題が、労働者、その家族、職場及び社会に与える影響は、今日、ますます大きくなっており、特に、警察の仕事は、事件・事故の捜査や被害者支援、災害等の現場において悲惨な状況を目の当たりにする機会も多く、大きなストレスを受けていると思われます。  〔資料提示〕  国においても、労働安全衛生法の規定に基づいて策定した、第13次労働災害防止計画における数値目標の一つに、メンタルへルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上と掲げており、職場において、より積極的にメンタルヘルス対策を推進することは、職員とその家族の幸せを確保するとともに、社会の健全な発展という観点からも、非常に重要な課題となっています。  メンタルヘルス不調のリスクを低減させるためには、ストレス要因の把握と、これに対する適切な対処が必要であります。  職業生活におけるストレスの原因は、人間関係の問題、仕事の質・量の問題など、様々な要因が考えられるところですが、一般的には、職場に存在するストレス要因は、職員自身の力だけでは取り除くことができないものもあることから、県警察として、組織的かつ計画的なメンタルヘルス対策を推進することが重要であります。  昨年5月に、川崎市で発生した通学中の小学生らを対象とした通り魔殺傷事件や、平成29年に相模原市で発生した障害者施設殺傷事件など、多数の方が犠牲となる事件や事故の現場は、警察官であっても、目を覆いたくなるような痛ましい状況であると思われます。  日頃から事件や事故の現場に赴くことの多い警察官でも、このような現場に駆けつけて、捜査活動や被害者の支援などに従事することにより、強いストレスを受けると思われ、こういった心理的負担について、適切な対策を講じる必要があると考えます。  そこで、警察本部長に伺います。  県警察として行っているメンタルヘルス対策の取組について、特に警察業務の特性に配慮して実施しているメンタルヘルス対策について、御所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、介護離職の防止に向けた取組について伺います。  厚生労働省が行っている雇用動向調査によれば、2018年に介護・看護を理由に離職した人の数は、全国で9万8,400人に上るとされています。  この介護離職については、以前は、パートタイムの非正規雇用労働者の離職が多いという状況でしたが、2010年頃から、その差が縮小し、2017年では、介護や看護を理由に離職した正規雇用の方が5万人を超え、非正規雇用の方が4万人と、正規雇用労働者のほうが多くなっているとの報告があります。  一方、平成30年6月に総務省が発表した、介護離職に関する意識等調査結果によれば、育児・介護休業法に基づき、年5日の取得が可能な介護休暇について、家族の介護をしている方の9割以上の方が、利用したことがないと回答し、また、そのうちの6割以上の方が、介護休暇の制度を知らないと回答しており、介護休暇の制度が浸透しているとは言い難い状況にあります。  〔資料提示〕  この介護休暇について、来年1月から、取得の単位が半日から1時間単位に柔軟化され、朝のデイサービスの送り出しやケアマネジャーとの打合せといった、短時間の用事にも活用しやすくなるほか、1日の所定労働時間が4時間を超える労働者だけでなく、全ての労働者が取得できるようになります。  介護休暇については、制度は知っていても、利用しにくい雰囲気の職場も多いと聞いており、それぞれの企業において、介護休暇への理解を深めていただくことが重要だと考えます。  〔資料提示〕  仕事と介護の両立に向けた支援について、これまで県では、かながわサポートケア企業認証制度を創設するとともに、介護休暇の取得が時間単位で可能となる法改正についても、中小企業への周知を図っていることは承知しています。  こうした中、小売業界などで働く方が加入している労働組合であるUAゼンセンが、来年3月から、親の介護が必要となった組合員に対し、給付金を支給することなどを内容とする介護共済制度を導入すると聞いています。  この共済制度では、企業や企業の組合が団体で加入して、保険料の一部や全額を負担する形を想定していて、介護離職を個人の問題ではなく、会社の経営問題として取り組むように、意識を転換させていく画期的なものです。  そこで、知事に伺います。  今後、介護離職の防止に向けた取組について、企業や個人の理解が進んでいくよう、県として、どのように取り組んでいくか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、5Gの環境整備を踏まえた産業振興の取組について伺います。  クラウドやAI、IoTの導入など、デジタル技術は大きく進展しています。そうした中、私たちの日常生活をはじめ、企業における業務においても、デジタル化が進んできました。  また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、新しい生活様式への対応が求められる中、デジタル化の必要性はさらに高まっています。  こうしたデジタル化が加速する中、新たな通信規格である5Gは、事業の変革をさらに進めるものとして、その普及が期待されています。  〔資料提示〕  5Gは、この春から、通信キャリアによる商用化が始まり、5G対応の携帯電話も売り出されています。5Gにより、通信容量がさらに増え、これまで以上に安定した通話や、4K、8Kなどの高精細画像のダウンロードなどが可能となります。  また、5Gは、通信の容量が大きくなるだけでなく、低遅延、多端末接続といった、これまでより優れた特徴があり、産業界での活用が期待されています。  例えば、低遅延により、道路状況に迅速に対応した自動運転が、多端末接続により、工場内での多数のロボットの制御が可能となります。  自動運転では、時速60キロで走行している自動車の場合、これまでの通信規格で操作をすると、最大15センチ以上の誤差が生じるということですが、5Gを活用すれば、数センチ程度の誤差で済むということです。  また、工場では、5Gの導入により、複数のロボットの制御を1か所から行い、円滑な連携を図るとともに、機器の間の配線が要らなくなることで、マーケットの需給状況に合わせた、柔軟な生産ラインの変更が可能となります。  こうしたことのほかにも、高精細な映像を受信できることから、遠隔からの監視、技術指導、さらには、医師による診療など、様々な利用方法が考えられており、5Gを活用した商品やサービスの開発などが期待されます。  一方、5Gは電波が届く距離が短く、ネットワークを構築するためには、これまでよりも、多くの基地局を要し、全国に普及するまでには、まだ、何年かの時間を要することは承知しています。  ただ、そうした中でも、産業振興の観点から、いち早く県内企業が5Gを利用できる環境の整備が望まれます。  〔資料提示〕  東京都では、昨年12月に「未来の東京戦略」ビジョンを作成し、スマート東京・TOKYO Data Highway戦略を打ち出し、東京都立産業技術研究センター内にローカル5G環境を整備することを発表しました。  我が会派も、5Gの商用開始や東京都の取組などを踏まえ、本年2月の代表質問において、5Gに係る企業等の取組の支援を要望したところです。  県では、この4月の補正予算により、県内企業が、5Gを活用した実証実験ができるよう、神奈川県立産業技術総合研究所に新たな通信環境の整備を進めています。  そこで、知事に伺います。  神奈川県立産業技術総合研究所における5Gの実証環境の整備を踏まえ、どのように産業振興に取り組んでいくのか、御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、神奈川県国民健康保険運営方針の改定についてです。  我が国の国民皆保険制度はすばらしい制度と考えますが、この制度を維持していくためには、国民皆保険制度の最後のとりでとも言える国民健康保険制度を安定化させ、持続可能なものにしていく必要があります。  制度の安定化を目指し、平成30年度に施行された国民健康保険制度改革では、都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体となり、都道府県内の統一的な運営方針として国保運営方針を策定して、安定的な財政運営や効率的な事業運営を確保していくこととなりました。  会派として、平成29年第2回定例会の代表質問で、国民健康保険制度改革における県民にとってのメリットについて質問し、知事からは、県内どこに住んでも、少ない自己負担で医療を受けられる国保制度を、将来にわたって、安定的に持続させていけることが、制度改革の最大のメリットだと御答弁を頂きました。  〔資料提示〕  令和2年度は、平成30年度から3年にわたって運営してきた国民健康保険事業の運営状況を踏まえ、国保運営方針を改定する年度に当たり、年内に策定予定と承知しているところですが、現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの県民の経済状況が厳しい状況にあり、令和2年の収入は、減少することが考えられます。  改定に当たっては、そうした厳しい生活や経営の中に置かれている県民に、新たに負担を生じさせることは避けなければならないと考えています。  また、改定後においても、今後の新型コロナウイルス感染症の県民生活への影響は未知数であることから、状況を踏まえ、運営方針の必要な見直しを行う必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  県は、コロナ禍において、県民が厳しい経済状況にあることを踏まえ、国保運営方針の改定を行う必要があると思いますが、知事の御所見を伺います。  以上で、私の第1回目の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 曽我部議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、新型コロナウイルス感染症への取組についてお尋ねがありました。  まず、新型コロナウイルス感染症に関する法的措置についてです。  新型コロナウイルスのような大規模な感染症については、各都道府県が、地域の実情に応じて、実効性のある対策を速やかに講じられるよう、財政的な措置が十分に確保されるとともに、知事の権限の法的な裏づけが明確であるべきと考えています。  しかしながら、対策の根拠となる特措法や感染症法では、知事の権限の範囲が異なることや、実効性を確保するための措置が十分ではないなど、様々な課題を指摘してきました。  例えば、感染症法では、知事と保健所設置市の市長に同等の権限が与えられている一方で、特措法では、知事に権限が集中するなど、整合が図られておらず、円滑に対策を進める上での支障になっています。  特に、総合的な調整を行う知事に、県内の感染情報が集約される仕組みとなっていないことは大きな問題であり、当初から、私自身が、厚生労働大臣に改善を求めてきました。  国は、そうした声に応え、行政や医療機関が情報共有を行うためのシステム─HER-SYSを開発しましたが、法的な位置づけがないため、医療機関等での利用が進んでいないという課題があり、まずは情報共有の強化という点で、感染症法の改正を検討していると聞いています。  一方、特措法についても、緊急事態宣言下で、事業者に休業要請を行う場合の補償的な措置や、要請に従わない場合の罰則等が定められていないため、実効性のある対策が困難という課題があります。  この課題についても、これまで、全国知事会等を通じて、繰り返し要望しており、西村担当大臣との意見交換も重ねています。  今後、感染拡大の状況がさらに深刻となり、再び緊急事態宣言が発出されるような事態となった場合、法的な課題も再浮上してきますので、早急に法的措置についての対応を進めるよう、引き続き、全国知事会等を通じて、国に強く求めてまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症陽性患者に係る宿泊療養施設についてです。  まず、宿泊療養施設の確保についてですが、県では、医療提供体制「神奈川モデル」の一つの柱として、軽症・無症状患者を受け入れる宿泊療養施設を4月上旬より運営しており、横浜市や相模原市が運営する施設も含め、11月30日現在、298名の方が入所しています。  一時期、確保数が約750室となりましたが、7月からの感染者の増加を踏まえ、9月中旬以降、新たに3施設を確保し、現在、約1,600室を確保しています。  新たな3施設のうち、厚木市内の1施設は、今後の感染拡大に備えて準備したもので、現在、感染者の受入れは行っていません。  なお、11月以降の急速な感染者の増大により、病床の逼迫が深刻化してきたことを踏まえ、これまでの入院基準を見直したこともあり、宿泊療養施設の需要が高まることが想定されるため、この施設を12月中旬から稼働させることとしました。  次に、自宅や宿泊施設での療養者に対する支援についてです。  自宅や宿泊施設の療養者に対しては、毎日、電話やLINEにより、保健師等が健康観察を行っているほか、自宅療養者に対しては、日常生活に困らないよう、レトルト食品や冷凍食品、飲料、日用品などを定期的に配送するサービスを、11月から開始しています。  また、一部の宿泊施設では、地元の飲食店からの手書きメッセージつきの心尽くしのお弁当を納入しており、療養者からは、励みになったとの声も頂いております。  このように、新型コロナ患者が、自宅や宿泊療養施設においても、不便なく、安心して療養生活を送れるよう、支援に努めています。  こうした取組を通じて、感染収束が見えない中にあっても、神奈川モデルにおける新型コロナ対策にしっかりと取り組んでまいります。  次に、未来を担う子どもへの施策についてお尋ねがありました。  まず、不払い養育費の確保に向けた支援についてです。  独り親が子供を安心して育てるためには、家庭の経済的基盤を確保することが大切です。  離婚などにより、独り親となった場合、離れて暮らす親にも養育費を負担する義務がありますが、国の調査によると、養育費を実際に受け取っている母子家庭は約25%にとどまっており、養育費が不払いとなっている状況があります。  このような中、民事執行法が改正され、離婚時にあらかじめ養育費を取り決め、いわゆる公正証書等に記載していれば、裁判によることなく、相手方の財産の差押えが可能となるなど、養育費の確保がしやすくなりました。  しかしながら、こうした制度が十分に知られていないことが課題であり、より一層の周知が必要と考えます。  県では、独り親家庭の自立を支援する母子家庭等就業・自立支援センターにおいて、不払い養育費の解決のために必要な公正証書の作成方法のアドバイスをはじめ、離婚前後の様々な相談に応じています。  また、独り親家庭の生活全般の相談を行う、母子・父子自立支援員を対象に、法改正による制度変更について理解を深めるため、研修を実施しています。  今後は、こうした取組に加え、県では、効果的な周知方法を検討するため、市町村に対し、離婚届を受理する窓口での対応状況について、アンケート調査を行います。  また、県のホームページで養育費に関する相談窓口を案内するほか、市民が無料で法律相談できる法テラスなどとも連携し、広く周知を図っていきます。  さらに、離婚時に養育費の取決めが徹底されるよう、九都県市首脳会議として、公正証書等の作成義務化や作成費用の無償化、専門家等への相談費用に対する補助などを国へ要望していきます。  県としては、こうした取組を通じて、独り親家庭の子供たちが、心身共に健やかに成長できるよう、しっかりと支援してまいります。  次に、児童相談所における外国籍県民等への支援についてです。  外国籍県民等の子供の数は、年々増加しており、その子育てに対する支援は、より一層の強化が求められています。  外国籍県民等は、言葉の壁や生活習慣の違いなどにより、子供の養育においても、様々なストレスや困難を抱えやすく、虐待のリスクが高まることが懸念されます。  このため、児童相談所においても、外国籍県民等への専門的かつ適切な対応が重要です。  これまで県では、児童相談所の案内や、虐待防止や体罰禁止について、英語をはじめ、中国語、韓国語のほか、アジアやヨーロッパ、南米など、10の言語でパンフレットを作成して、周知、啓発を行ってきました。  また、児童相談所の職員が外国籍県民等の来所相談や家庭訪問を行う際には、市町村やNPOなどの通訳を同伴して対応してきました。  さらに、外国籍県民等に対する理解を深めるため、異なる文化や生活習慣などを学ぶ研修を行うなど、職員の人材育成を行い、安心して相談していただける環境を整えています。  今後は、児童相談所の機能について、外国籍県民等への周知を強化し、確実に相談につなげることで、虐待の未然防止、早期対応を図ることが重要と考えています。  そこで、県では、支援が必要な方に、相談窓口などの情報が直接伝わるよう、県が発行する外国籍県民向けの広報紙をはじめ、支援団体のメールマガジンやSNSなどを活用して、周知、啓発を行っていきます。  また、子育て支援を行う身近な窓口である市町村や、外国籍県民等のコミュニティにつながりのある支援団体と連携を強化し、必要に応じて適切なタイミングで相談につなげていきます。  こうした取組を通じて、外国籍県民等に着実に支援が届くよう、きめ細かく対応しながら、全ての子供が、幸福で健やかに成長できる、ともに生きる社会かながわの実現を目指してまいります。  次に、職場環境の整備についてお尋ねがありました。  介護離職の防止に向けた取組についてです。  全国屈指のスピードで高齢化が進む本県では、生産年齢人口が減少する一方で、介護を必要とする方が増加していくことから、仕事と介護を両立させ、介護離職を防止することが、ますます重要となります。  県では、これまで、仕事と介護の両立を促進するため、企業へ専門家を派遣し、それぞれの企業に適したアドバイスを行ってきました。  また、仕事と介護の両立について、優れた取組を行っている企業を、かながわサポートケア企業として認証しています。さらに、サポートケア企業の取組や介護問題へ意欲的に取り組む経営者へのインタビューなどを掲載したリーフレットを企業へ配付し、理解促進に取り組んできました。  また、介護離職を防止するためには、働く人が自ら介護保険を活用するとともに、積極的に介護休暇を利用することが必要ですが、介護休暇については、まだ知らない方も多いのが実情です。  今後は、企業向けの取組と併せて、働く方を対象に介護休暇の理解を深め、その活用を促進していく必要があります。  そこで、まず、介護休暇等の制度について、県のたより1月号に、介護休暇を利用しやすくするための取得要件の緩和について掲載し、企業も含め、県民の皆様に広く周知します。  また、介護を必要とする方や、その家族が利用する地域包括支援センターを通じ、介護休暇制度等を紹介し、その活用を促していきます。  こうしたことにより、働く方々が、利用可能な制度を有効に活用し、介護をしながら働き続けることができるよう、しっかりと取り組んでまいります。  次に、5Gの環境整備を踏まえた産業振興の取組についてお尋ねがありました。  5Gは、大量のデータを収集、分析し、また、多くの端末をインターネットにつなげ、同時に制御することも可能にする技術であり、今後のAIやIoTの導入に大きな役割を果たすものです。  国では、5Gの普及のため、携帯通信事業者に対し、税制優遇措置により、基地局の整備を後押ししています。  また、その他の企業等に対しても、特定のエリアで5Gネットワークを個別に利用できる、いわゆるローカル5Gの整備を認めています。  県においても、県内企業が5Gを活用し、新たな商品やサービスを開発できるよう、4月補正予算により、神奈川県立産業技術総合研究所─KISTECにローカル5Gを整備することにしました。  具体的には、5Gに対応した製品やサービスの開発に向けた、専用の実証スペースを整備するとともに、工場内での5Gの活用を想定して、工作機械を設置している部屋にも、通信環境を整備します。  現在、整備工事や電波を利用するための免許申請を進めており、今年度内に県内企業の皆様に御利用いただける見込みです。  整備したローカル5G環境を生かし、県内産業の振興を図るためには、県内企業に対する十分な周知が必要です。  そこで、このローカル5Gの実証環境を、多くの企業の皆様に御利用いただけるよう、商工関係団体やR&D推進協議会等を通じ、周知していきます。  また、IoTの活用に積極的な中小企業を直接訪問し、ローカル5Gの活用事例を紹介しながら、利用を働きかけていきます。  こうした取組により、県内企業による、5Gを活用した新たな商品・サービスの開発や、工場のスマート化を促し、県内産業の振興を図ってまいります。  最後に、神奈川県国民健康保険運営方針の改定についてお尋ねがありました。  国民健康保険は、加入者に年金生活者や非正規雇用者が多く、他の公的医療保険制度に比べ、医療費が高い一方、保険料収入が低いという構造的な問題を抱え、厳しい財政状況にあります。  こうした国保制度の財政上の課題を解決し、安定化を図るため、平成30年度の制度改革では、県が財政運営の責任主体となり、国保運営方針を策定することとなりました。  今年度は制度改革から3年目を迎えますが、これまで、現行の運営方針の下、保険料負担の急激な増加を抑えながら、一般会計からの法定外繰入を削減するなど、安定的な財政運営が図られてきていると認識しています。  しかしながら、今年に入り、新型コロナウイルス感染症の影響により、廃業や離職等に追い込まれ、収入が大きく減少している加入者も出てきている状況にあります。  そこで、そうした方々を対象に、市町村が保険料の減免や、傷病手当金の支給等を速やかに実施できるよう、県は、市町村の条例や規則改正、運用面に関する助言を行い、その結果、県内の全市町村において、対応が図られたところです。  現在、令和3年度から5年度を対象として、運営方針の改定作業を進めています。  今回の改定に当たっては、安定的な財政運営を目指す視点から、法定外繰入の着実な解消等について、市町村との協議を踏まえ、黒字化に向けた目標年度を設定しています。この目標年度については、保険料負担に激変を生じさせないよう、弾力的に延伸することも可能としています。  さらに、方針策定後もコロナの情勢に沿って、数値目標等について、適宜修正することを明記し、財政運営を進めていきます。  県は、今後とも、国保運営方針の下、財政運営の責任主体として、コロナ禍における加入者の状況等を踏まえながら、安定的な制度運営を行ってまいります。  私からの答弁は以上です。  〔警察本部長(大賀眞一)発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 大賀警察本部長。 ◎警察本部長(大賀眞一) 警察職員のメンタルヘルス対策についてお答えいたします。  県警察で取り組んでいるメンタルへルス対策については、厚生労働省が定める、労働者の心の健康の保持増進のための指針に基づき、職員自身によるセルフケア、職場の上司によるラインケア、県警察内の保健スタッフ等によるケア、民間の相談機関を活用したケアの四つのケアを基本方針と位置づけて対応しております。  メンタルへルス対策の推進に当たっては、この四つのケアの基本方針に即して、各種教養などによるメンタルへルス不調の未然防止、ストレスチェックの実施などによるメンタルへルス不調者の早期発見と適切な対応、メンタルへルス不調により休業となった職員に対する職場復帰支援など、段階的に対策を講じております。  また、議員御指摘のとおり、警察活動においては、事件・事故をはじめとしまして、災害の現場などで悲惨な光景を目の当たりにする機会も多く、相当なストレスを抱えている警察職員もおります。  こうした、いわゆる惨事ストレスの対策として、事件・事故などの発生直後から、警察本部厚生課の医師や臨床心理士が関係所属と連携し、アンケートや問診などの方法によって、関係職員のストレス軽減対策を実施しております。  県警察といたしましては、これらの活動に従事する警察職員のメンタルへルス対策についても、継続的かつ計画的に推進し、県民の期待と信頼に応えるための力強い警察活動を展開していく所存であります。  以上でございます。  〔曽我部久美子議員発言の許可を求む〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 曽我部久美子君。  〔曽我部久美子議員登壇〕 ◆曽我部久美子議員 知事並びに警察本部長から御答弁を頂きまして、ありがとうございました。  会派として、これまで、様々な提案、提言をしてきました中で、実際に、もう具体的に取り組んでいただいていること、また、既に始まっていることもあれば、今からやっていこうという施策もあるということで、大変前向きな、具体的な御答弁を頂いたというふうに感じているところでございます。  ここから先は、時間の許す限り、要望をさせていただきたいと存じます。  まず初めに、新型コロナウイルス感染症の法的措置についてでございます。  特措法についてですが、休業要請には、法的な強制力がなくて、補償もないために、緊急事態宣言の際に、要請に応じようとしない、そういった事業者が多く見られたということもございます。実効性という観点で、かなり課題があるということを認識しております。  さらに、知事には県全域の総合調整を担う役割がある、そういった一方で、感染症法では、県と保健所設置市が同格であるという、法律上の整合性が図られていないということで、情報が共有しにくいという、そんな課題もございました。  県として、新型コロナウイルス感染症に関して、より実効性のある措置が可能となるよう、引き続き、全国知事会と連携を取りながら、実態に伴った改善を国に求めるように、さらに知事に頑張っていただくようにお願いいたします。  次に、宿泊療養施設についてです。  宿泊療養施設となっている横浜伊勢佐木町ワシントンホテルでは、先日、感染症の1人が、マスクもつけずに外出したとの報道がありました。近隣住民は、この報道で、宿泊療養施設が近くにあることに不安を感じ、今後、さらに感染が拡大していって、宿泊療養施設の確保が必要になったときに、課題になるのではないかと、難しいことになる可能性もあります。  今回、抜け出した療養者が立ち寄った場所の消毒費用などは、療養者には請求しないというふうに報道がありましたけれども、このような場合の費用など、責任の在り方も明確化し、二度とこのようなことがないように、厳正に対処していただくことを要望いたします。  次に、不払い養育費の確保に向けた支援についてですが、離婚届受付窓口へのアンケートを実施するとの御答弁を頂きました。大変心強く思っております。  アンケートの内容については、これから、様々検討になるのだと思うのですが、大切なことは、離婚届の提出の際、養育費についてのきちんとした取決めをすること、この重要性を親に分かっていただくということ、さらに、公正証書を作成すること、これが肝腎です。  東京都では、民間保証会社を活用した養育費の受け取りを支援する制度を導入すると聞いており、全国的にも広がりを見せています。明石市なども相当突っ込んだ議論をされておりまして、具体的な改革も進んでいるようでございます。  本県でも、子供を守るという観点から、支援の拡充を検討していただくように、切に要望いたします。  次に、介護離職の防止についてです。  来年の1月から、育児・介護休業法が改正されて、時間単位で休暇を取得できるようになります。普及啓発について、県として、地域包括支援センターなどを通じた周知や、県のたより1月号にも掲載していただくと御答弁を頂きました。  こうしたあらゆる広報を通じて、企業の理解が進めば、働く方々の介護休暇が、より取得しやすいものとなって、働き盛り世代の労働者の貴重な労働力も確保できます。  今後も、仕事と介護の両立に向けた支援の充実で、県の取組をさらに推進していただくことを要望します。  次に、5Gについてです。  5Gの活用について、遠隔地で画像を共有しての手術や、AIを搭載したロボットによる介護や自動運転、スマート農業のより一層の推進など、実に様々な分野への応用が期待され、DX化の推進にも不可欠なツールです。  県が整備するローカル5Gを、ぜひ多くの企業などに活用していただき、自由な発想で神奈川の未来に資する、そして、県民生活の向上に役立つサービスにつなげていただくよう、要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○副議長(いそもと桂太郎) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(いそもと桂太郎) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後3時25分 休憩        ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和2年第3回-20201201-028773-質問・答弁-さとう知一議員-代表質問①コロナ禍を受けた県の取組について②公立小・中学校におけるGIGAスクール構想の推進について③津久井やまゆり園等の県立福祉施設における指定管理者の選定について》                   午後3時45分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共98名 ○議長(嶋村ただし) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(嶋村ただし) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○議長(嶋村ただし) 質問を続行いたします。  さとう知一君。  〔さとう知一議員登壇〕(拍手) ◆さとう知一議員 議長のお許しを頂きましたので、県政会神奈川県議会議員団を代表し、通告に従い、提言を交えながら、順次質問させていただきます。  知事、教育長におかれましては、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。先輩、同僚議員もよろしくお願いいたします。  〔資料提示〕  初めに、コロナ禍を受けた県の取組について。  新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の今後の活用について伺います。  新型コロナウイルス感染症が、第3波とも考えられる猛威を振るっています。本県においては、累次の補正予算で、約4,376億円の新型コロナ対策を実行してきていますが、その予算の柱の一つが、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金でございます。  この地方創生臨時交付金は、国の第1次と第2次の補正予算で、計3兆円が予算計上され、全国の都道府県が提出した実施計画に盛り込まれた交付金対象経費の金額に応じて、配分、交付される仕組みとなっております。  〔資料提示〕  ところが、去る11月5日に発表された全国知事会の活用状況調査によると、今年10月1日の時点で、全国47都道府県が、既に予算計上した、今後使う予定がある地方創生臨時交付金の総額は1兆8,438億円なのに対し、国の交付金配分予定額は1兆2,304億円にとどまり、47都道府県における地方創生臨時交付金の不足額は、6,134億円に上ります。  この調査結果を受けて、全国知事会は、同じく11月5日に、令和3年度税財政等に関する提案をまとめ、この提案に基づき、国に対して、新型コロナ対応地方創生臨時交付金の今年度分の不足額の交付を求めていると承知しております。  本県においては、この地方創生臨時交付金については、今定例会に提案された11月補正予算に29億900万円を活用したのを含めて、既に682億円を予算化しており、これまで、中小・小規模企業等への支援、観光・飲食業支援、資金繰り対策、地域経済活性化などに幅広く活用され、新型コロナウイルス感染拡大防止や、県民生活の安定に大いに貢献しているところです。  しかし、現時点で、全国知事会の調査のような、本来受け取るべき地方創生臨時交付金に不足分があるとすれば、今後の新型コロナ対策への影響や、将来的な県費による補填の必要もあろうかと考えます。事実関係や今後の対応などを、議会、県民へ十分な説明をしていただくことが大切であると考えています。  そこで、知事に伺います。  全国知事会の調査によると、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の本県の不足分はいかほどの金額になるのか、また、追加の配分を求めるなら、今後の交付金の使途をどのように考えているのか、伺います。  〔資料提示〕  次に、厚木児童相談所等における相談体制の充実について伺います。  県が所管する厚木児童相談所をはじめとする五つの児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数は、2015年度に3,773件でしたが、2019年度は7,349件と倍増しました。このうち、厚木と中央の二つの児童相談所で、4,540件と6割を占めています。  そうした中、県は、厚木児童相談所と中央児童相談所の適正規模化を図るため、所管区域を見直した上で、中央児童相談所の建物内に、新しい児童相談所を設置することとしました。  新しい児童相談所は、現在、厚木児童相談所の所管である綾瀬市及び中央児童相談所の所管である大和市を所管区域とし、(仮称)大和綾瀬地域児童相談所とすることとしています。  厚木児童相談所については、2022年4月に移転し、開所することとし、厚木児童相談所の所管区域であった綾瀬市を、2021年4月から運営を始める大和綾瀬地域児童相談所に移管するとしています。  この再編で、相談件数が分散され、児童相談所の相談員の業務負担の軽減、相談される県民一人一人への、より細かな対応が期待されます。業務の量的負担分散により、業務負担の軽減が、サービス向上へとつながると期待しているところです。  この流れの中、再編により、相談件数の量的負担の分散が進む中で、同時に、より相談しやすく、スムーズな相談体制をつくっていくことが大切です。  本県においては、コミュニケーションアプリ、LINEを活用した児童虐待防止のための相談窓口を開設しています。このアカウントは、児童虐待、子育ての不安、しつけ、家庭や家族の悩みなど、子供に関わる相談をお受けすることを目的として、神奈川県子ども家庭課及び児童相談所が運用しています。  〔資料提示〕  コロナ禍において、今後もスマートフォンやタブレットを活用した相談は、増加することが想定されます。スマートフォンが広く普及する中、若年層を中心に、SNSの利用割合が増えています。総務省の調査においても、SNSによるコミュニケーションが多くを占めていることが報告されています。  今後、子育て世代においても、スマートフォンなどによるSNSの活用が主要な情報収集や、コミュニケーションの手段になると考えられています。電話やメールで相談しにくいことも、SNSならば相談しやすいという声もあり、県民の方にとって有効な手段であります。  一方で、課題もあります。  LGWAN─総合行政ネットワークは、行政専用の閉じた仕組みで構築され、セキュリティは高い反面、土日の相談業務や職員以外のカウンセラーなどと一体となった支援に、支障を来す事例もあります。  また、児童相談は、秘匿性が高いセンシティブな相談内容を扱うことなどから、LINEによる相談においても、相談員が決められた場所で相談を受けなければならないといった制限が出てくると認識しています。  さらに、今後は、児童相談のLINEによる相談件数が増加していくことにも備える必要があります。  こうした課題を補完するものとして、例えば、他の自治体において、児童虐待や新規の児童相談所業務に関連したLINEの活用については、チャットボット、いわゆるAIを併用して、対応する人の労力を大幅に減らした事例もあります。コロナ禍もあり、相談件数は増加しています。  県央地域の児童相談所の再編をはじめとした対策とともに、オンラインの力をより一層活用した児童相談所の相談体制を推進していくことが、虐待に悩むお子さんや子育てに悩む保護者の方への相談のしやすさ、ひいては、児童虐待の防止につながるのではないかと考えます。  そこで、知事にお伺いいたします。  児童相談所における相談体制について、業務負担軽減とサービス向上の両面を踏まえながら、LINEなどを活用したオンライン相談を含め、相談体制のより一層の充実を図っていく必要があると考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、火災予防に資する情報提供とSNS等の活用についてお伺いします。  本県においては、ビジネス版LINE─LINE WORKSを提供する民間企業等と、かながわ消防の初動対応力の強化に関する協定を締結し、本年より、本格運用がなされています。  これにより、神奈川県と厚木市消防本部など、各消防本部がスムーズに情報共有が可能となり、より迅速に救助活動や消火活動の開始ができる初動対応力が強化されたこととなります。  〔資料提示〕  また、県のアプリ、マイME-BYOカルテのLINE公式アカウント、ME-BYO onlineは、LINEを通して、災害時に必要となる情報の記録、災害時の安否確認などの機能を有し、県民への情報提供もできるツールとなっています。  また、本県においては、消防団の充実強化についても注力してまいりました。昨年度は、消防団の充実強化の取組に対し、可搬式の小型動力ポンプ、消防用ホース、携帯用無線機、投光器等、装備や資機材等への支援を行いました。今年度は、市町村地域防災力強化事業費補助金を2億円増額したものであります。  11月9日からの1週間は、秋の火災予防運動であり、私たちにとりましても、コロナ禍の新しい日常を実践する中で、初めての火災予防運動でした。  〔資料提示〕  本年は、飲食店における火災が減少する一方、ステイホームの時間が長くなり、住宅火災が心配されています。主な出火原因としては、ガスコンロなどの調理器具、たばこやストーブなどが挙げられます。  住宅用火災警報器の既存住宅の設置義務化から、10年がたちました。本体交換の目安である10年を超え、火災時に警報音が鳴らない住宅用火災警報器の増加が予想されています。新しい日常においても、防火意識を高める必要があります。  そこで、知事にお伺いいたします。  コロナ禍において、ステイホームの時間が長くなる中で、住宅火災が心配されます。火災予防に資する情報の提供に、LINE等、SNSやコミュニケーションアプリを活用するべきと考えますが、所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、新型コロナウイルス感染症対策としての冬場寒冷期における飲食店の換気・加湿対策等について伺います。  コロナ禍、全国に先んじて、感染者数が増えた北海道ですが、原因の一つとして、飲食店など、店舗における換気や加湿が行き届かないためだということが指摘されています。  特に、加湿については、湿度が低下すると、新型コロナウイルスの感染力が強まるという研究もあり、注意が必要です。  寒冷期を迎える本県でも、適切な対策を講じる必要があります。  知事は、既に、11月14日に、知事メッセージを県民や事業者の皆様に向けて発表し、換気、冬はこれに加えて加湿、という感染防止対策の徹底をお願いし、的確な対応と評価しているところです。  しかし、冬の暖房中は窓を閉めがちですから、注意が必要で、加湿や暖房のための設備についても、十分な支援が必要と考えます。  〔資料提示〕  ところが、現行の県の中小企業・小規模企業感染症対策事業費補助金には、扇風機やサーキュレーターなど、夏場の換気対策に対する補助メニューはあるものの、加湿器や温風ヒーターといった、冬場の加温や暖房に対応した補助メニューはなく、早急な対応、対策が必要と考えます。  そうした中、私たち県政会が、県当局に対して、飲食店などの店舗における冬場の加湿や暖房に関する支援策の必要性を非公式に指摘したところ、県当局におかれては、それを真摯に受け止めていただき、去る11月20日に、アクリル板、サーキュレーター、加湿器の無償貸出事業を、今年度予算の6,000万円の不用額を活用して実施することを記者発表され、25日から募集を開始されたことは、一定の評価をしているところであります。  しかし、これらの機材貸出事業は、アクリル板が1万枚、サーキュレーターと加湿器が、それぞれ200台と数が限られており、アクリル板以外は、既に上限に達し、県内の店舗から予想された御要望に応えることは厳しい状況にあると言えます。  8月から実施している中小企業・小規模企業感染症対策事業費補助金は、12月4日に募集締切りとなりますが、今後の新型コロナウイルス感染症に関する対策は、まさにこの冬が正念場であり、引き続き十分な支援が大切です。  そこで、知事にお伺いします。  新型コロナウイルス感染症対策としての冬場寒冷期における飲食店の換気・加湿対策等について、県は今後どのような支援を行うのか、伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) さとう議員の御質問に順次お答えしてまいります。  コロナ禍を受けた県の取組について、何点かお尋ねがありました。  まず、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の今後の活用についてです。  初めに、全国知事会の調査における本県の臨時交付金の不足額についてです。  全国知事会の調査は、10月1日時点における予算計上済額と、今後、予算計上する可能性のある潜在的な需要額を調べたものです。  本県では、臨時交付金を活用し、9月補正予算までに、医療提供体制の強化をはじめ、事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援や、県内の消費喚起などの地域経済の活性化、さらには、学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備などの取組を進めてきました。  こうした、既に予算計上している事業の中には、融資に伴う利子補給事業等、後年度にわたり負担が生じるものもあり、これらについては、来年度以降、予算措置が必要となります。  そのため、本県では、これまでの予算計上済額と、今後、予算措置が必要な潜在的な需要額を合わせて、約207億円不足している旨、回答したところです。  次に、今後の臨時交付金の使途についてです。  臨時交付金は、原則として、令和2年度事業が対象ですが、後年度にわたる事業については、基金に積み立てることで、令和3年度以降の事業実施が可能とされています。  そこで、今後、基金を設置した上で、中小企業者等が制度融資を利用する際の信用保証料の補助、医療機関への融資制度や、学生を持つ家庭に対する教育ローンへの利子補給などの後年度負担分に充てることを想定しています。  県としては、引き続き、臨時交付金を最大限活用して、感染拡大の防止や雇用の維持と事業の継続、経済活動の回復などに取り組み、感染症にも経済危機にも強い社会をつくってまいります。  次に、厚木児童相談所等における相談体制の充実についてです。  児童相談所では、子育てに悩んだ際、気軽に相談ができ、また、虐待と思われる子供を見つけたときなどには、誰もがためらわずに通告できるよう、来所や電話による相談体制を整え、専門の知識と技術を持つスタッフが丁寧に対応しています。  こうした中、子供本人や子育て中の若い世代が相談しやすいツールとして、昨年10月に、SNSを活用した、かながわ子ども家庭110番相談LINEを開設しました。  利用者からは、気軽に相談できた、話すとうまく伝えられないがLINEは伝えやすかったなどの御意見を頂き、相談しやすい窓口として効果を発揮しています。  このため、本年4月には、さらなる利便性の向上を図り、相談日を平日の週5日から、土曜日を含む週6日へ、17時までだった相談時間帯を20時まで拡大しました。  さらに、7月には、LINE相談の対象地域を政令市、中核市を含めた県内全域に広げたことにより、相談件数は前月の2.2倍となり、子供本人をはじめ、より多くの方から相談が寄せられ、早期の問題解決につながっています。  現在のコロナ禍においては、家で過ごす時間が増え、人と集まる機会が減るなどから、児童虐待が家庭の中で潜在化し、見えにくくなることが懸念されています。  そこで、県では、支援を必要とする子供や親にSNS相談窓口が直接伝わるよう、学校で周知カードを配布したり、民間企業の協力を得て、各企業のホームページやリーフレットに、SNS相談の案内を掲載していただくなどの取組を進めていきます。  また、児童相談所の相談機能の強化や、業務負担軽減などを検討するプロジェクトチームにおいて、AIを活用した相談対応についても研究していきます。  今後も、来所や電話による相談や、児童相談所の専門職による支援を行いながら、SNSなども活用して、支援が必要な方の相談にきめ細かく対応できるよう、体制の充実強化を図ってまいります。  次に、火災予防に資する情報提供とSNS等の活用についてです。  住宅火災による逃げ遅れを防ぐためには、火の手が大きくなる前に、煙や急激な温度上昇を感知し、住人にいち早く危険を知らせる住宅用火災警報器の設置が有効です。  住宅用火災警報器は、新築住宅は平成18年6月から、既存住宅は平成23年6月から設置が義務づけられました。  これにより、県内における住宅火災の発生件数と、火災からの逃げ遅れによる死者数は、義務づけ前と比較して、共に3割以上減少するなど、効果が上がっています。  一方、全ての住宅に火災警報器の設置が義務づけられてから、間もなく10年が経過する中、経年劣化や電池切れなどにより、今後、点検や交換が必要な機器が増加することが見込まれています。  そのため、市町村消防本部や消防団では、家庭訪問や広報紙などを通じて、住宅用火災警報器のメンテナンスの必要性について、積極的に啓発を行っています。  火災予防は、基本的には市町村の役割ですが、県としても、県のたよりやポスターをはじめ、フェイスブックやツイッターなど、SNSを積極的に活用して、火災予防に関する情報を提供していきます。  県としては、こうした取組を通じて、市町村と連携しながら、県民の防火意識を高める取組をしっかりと進めてまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症対策としての冬場寒冷期における飲食店の換気・加湿対策等についてです。  現在、新型コロナウイルス感染症の新規感染者が急増し、病床も逼迫してきており、さらなる感染拡大を防ぐためにも、感染リスクの高い会食時の飛沫対策を、一刻も早く飲食店に講じていただくことが必要です。  会食時の飛沫感染を防ぐには、まず、人と人の間をアクリル板等により遮蔽し、会話による飛沫の拡散を防止することが有効です。また、アクリル板等に遮られ、空中に浮遊したマイクロ飛沫を、換気により排出することも必要です。  こうしたことから、県では、アクリル板やサーキュレーターについて、4分の3という高い補助率で、その導入を支援しているほか、事業者の皆様に負担感なくアクリル板等を導入していただくため、新たに無償貸出しを実施することとしました。  また、冬場を迎え、加湿により、飛沫の拡散範囲が抑えられることも分かってきましたので、加湿器も貸出対象に加えました。  これらの物品は、現在、品薄状態にあり、当面、調達可能な規模で貸出しを行うこととしましたが、受付開始当初から、数多くの申請を頂き、サーキュレーター、加湿器は初日で貸出予定数を上回ったため、受付を一旦停止しています。  現在、追加貸出しの準備を進めていますが、品薄状態の物品の確保が課題となっており、また、寒い冬場には、窓を開放する時間を必要最小限に抑えた効率的な換気も課題となります。  そこで、まず、希望する飲食店に一日も早く貸出しできるよう、県内企業の協力を得ながら、物品確保に努め、準備が整ったものから、順次、申込受付を再開します。  また、二酸化炭素の濃度により、換気のタイミングを知ることができる、CO2濃度測定器を貸出品目に追加したいと考えています。  こうした物品の無償貸出しにより、飲食店がアクリル板による遮蔽、換気、加湿による飛沫感染防止対策を十分講じながら、冬場の寒い時期も営業を継続できるように、しっかりと支援してまいります。  答弁は以上です。  〔さとう知一議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) さとう知一君。  〔さとう知一議員登壇〕 ◆さとう知一議員 非常に前向きな御答弁ありがとうございます。  特に、物品貸出しにつきましては、品薄の中、さらなる追加も御検討ということで、本当に感謝いたします。  そうした中でありますが、2点、再質問させていただきます。  新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の今後の活用についてでありますが、この臨時交付金を活用して積み立てる基金は、いつ設置するのか、お伺いいたします。  また、火災予防に資する情報提供とSNS等の活用についてでありますが、本県では、LINE公式アカウント、ME-BYO onlineを活用して、災害時などの安否確認や現在地に近い避難所や避難場所を、地図上に表示する等のサービスを提供しているところであります。  一方、それぞれの部局がばらばらにLINEアカウントを持ち、それぞれのチャンネルで広報活動等を行うことは、適時適切提供の視点からも好ましくないと考えています。  例えば、3月春と11月秋の全国火災予防運動に合わせて、ME-BYO onlineを活用し、住宅用火災警報器の設置促進等、火災予防につながる情報の提供を行うべきと考えますが、知事の所見を伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  まずは、臨時交付金についてでありますけれども、令和2年度中に基金に積み立てる必要があります。そこで、令和3年第1回定例会において、基金設置に係る条例案を提出し、令和3年3月中に基金を設置したいと考えております。  続いて、ME-BYO onlineを活用しての情報提供でありますけれども、火災予防に関する情報は、県民の皆様の命を守る上で、大切な情報と考えております。  そのため、ME-BYO online、これにこだわらず、フェイスブックやツイッターなど、様々な媒体を活用して発信してまいりたい、そのように考えております。  答弁は以上です。  〔さとう知一議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) さとう知一君。  〔さとう知一議員登壇〕 ◆さとう知一議員 ありがとうございます。  意見、要望を申し上げます。  厚木児童相談所等における相談体制の充実ですが、家族の介護や世話をしている18歳未満の子供、ヤングケアラーの存在が注目されています。  直近の埼玉県の調査では、埼玉県内の高校2年生の約25人に1人がヤングケアラーであり、そのうち、およそ3人に1人が介護や世話を毎日行い、4人に1人が悩みや不満を話せる相手がいないと答えるなど、不安や負担を抱える実態が明らかになっています。  厚木児童相談所における相談体制の充実については、既にLINEを活用してはいるものの、時間の制限もあり、LINE電話など、ネット電話も使えません。今の10代は、電話はあまり使わず、LINE電話などで通話し、一説には携帯電話の約3倍という調査もあります。  LINE相談は、早急に24時間化していただきたいと思いますし、ネット電話を使用した相談体制についても、早急に創設していただけるよう、強く要望いたします。  厚生労働省によると、2019年度、児童相談所が対応した児童虐待の相談件数は19万3,780件、2018年度に比べ、3万件以上増加し、過去最多となりました。できない理由を並べるのではなく、どうすればできるかを探す、黒岩カラーをしっかりと前向きに出して、対応していただきたいと思います。  次に、火災予防に資する情報提供とSNS等の活用についてです。  私も、地元で消防団員として15年以上にわたり活動しております。実際に出火をし、消火活動をするたびに思いますが、出火した一軒家を一つ消火するのに、多くの人員と時間と消火栓など水利をフルに使用します。地震などの大災害時に、火災現場が同時多発した場合を考えると、本当に恐ろしいというふうに考えます。予防こそが大事だと思います。  10月21日にも、大規模火災が厚木市にて発生し、私も出動しました。現場では、私も最前線で、ホースの筒先を持ち、消火活動に当たりましたが、今回、改めて感じたのは、消火資機材の充実でありました。  今年2月に新たに配備された可搬式ポンプは、延長しても水圧は高く、性能は大きく向上しています。  また、火災現場を照らす投光器、夜間の火事でありましたが、LEDとなり、以前に比べてかなり明るくなりました。消防本署の投光器と比べても、明度は高かった印象があります。  消火活動に用いる防火服は、昔は銀長と呼ばれましたけれども、新しく支給されたものは軽く、消火活動も非常にしやすかったイメージがあります。  実際に出火した現場出動は何度もありましたけれども、これまでの火災発生時は、こうした資機材は大分古いものでありましたし、間違いなく、作業効率は上がっていて、感謝しています。  住宅用火災警報器の設置については、2006年6月1日から設置が義務づけられました。法律による火災報知器設置義務化の周知と設置のお手伝いに、消防団員として、私も班を編成して、所管地域を回りました。  10月に火災出動した当該のお宅では、2009年11月8日、私が仲間の消防団員と共に訪問した独居高齢者宅のうちの1軒でありました。非常に残念でありました。  死者の半数以上が65歳以上の高齢者となっていること、死亡原因の約7割が逃げ遅れであること等の理由から、早期に火災を発見し、逃げ遅れ等による被災者の増加を抑制するため、住宅用火災警報器の設置は、非常に有効なものであります。よろしくお願いいたします。  コロナ禍、火災予防に資する情報提供に、LINE等、コミュニケーションアプリを活用することは有効であります。また、消防資機材の充実強化についても、引き続き要望するものであります。  その他、コロナ禍を受けた県の取組につきましても、前向きな御答弁を頂きましたが、さらにしっかり御対応いただくよう、要望し、次の質問に移ります。  〔さとう知一議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) さとう知一君。  〔さとう知一議員登壇〕 ◆さとう知一 議員  〔資料提示〕  次に、公立小・中学校におけるGIGAスクール構想の推進についてお伺いいたします。  GIGAスクール構想は、小学校の児童、中学校の生徒1人に1台の端末と、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを整備し、多様な子供たちに、最適化された創造性を育む教育を実現する構想であります。  本県では、全ての市町村において、来年度当初には、児童・生徒1人に1台の端末という環境が整備される見込みです。今後は、その活用に注目する必要があります。  コロナ禍、オンライン授業をはじめとする学校教育のデジタル化が注目されています。近年の研究でも、ICTを活用し、子供の習熟度に応じて、個別に最適化された教育には効果があるとされています。  そのような中、教育経済学の中室牧子慶應大学教授は、タブレットやPCなど、ハードウエアの提供という手段が政策目標となった国では、生徒がゲームや動画等に多くの時間を費やし、成果も限定的であったという事例を挙げています。  手段ではなく、目標を共有し、いつ、誰にどのように使うかという議論にこそ、意味があるとしています。  〔資料提示〕  また、1人1台の端末整備により、学校や家庭において、オンラインによる学習を進め、ますます学習への意欲を高めていく児童・生徒がいる一方で、端末を活用した学習を円滑に進められず、学習への意欲を失う児童・生徒が出ることも予想されます。  今後の小中学校におけるICTを活用した学びについては、ICT環境を整備し、活用することで、何を目指すのかを明確にするとともに、児童・生徒一人一人の学びに、格差を生まない取組が必要と考えます。  そうした学校での取組を、県教育委員会として把握し、成果や課題を検証していくことが大切だと考えます。  そこで、教育長にお伺いいたします。  子供の力を最大限に引き出す学びの実現を目指すGIGAスクール構想でありますが、公立小中学校における1人1台端末の活用による成果と課題の検証について、教育長の見解を伺います。  〔教育長(桐谷次郎)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 桐谷教育長。 ◎教育長(桐谷次郎) 教育関係についてお答えします。  公立小・中学校におけるGIGAスクール構想の推進についてです。  児童・生徒一人一人の学習への興味、関心を高めることや、より分かりやすい授業、主体的・対話的で深い学びを実現することを目的に、現在、各小中学校において、1人1台のICT端末を整備し、活用するGIGAスクール構想が進められています。  この構想の推進に当たっては、児童・生徒の学びに差が生じないよう、教員が1人1台端末を活用して進める学習の状況を的確に把握し、個に応じた指導や支援を行うことが重要です。  そのため、県教育委員会では、この10月に、こうしたICT活用の基本的な考え方や具体的な活用方法等を手引として取りまとめ、全県指導主事会議等を通じ、市町村教育委員会や各学校と共有を図っています。  GIGAスクール構想の目的を達成するためには、市町村教育委員会と共に、今後、1人1台端末の活用に関する成果や課題をしっかりと把握し、検証していく必要があります。  そこで、県教育委員会では、来年度、市町村全体の授業改善を支援する、学びづくり推進事業の研究委託校において、主体的に学習を進めるための児童・生徒1人1台端末の効果的な活用について、研究を進める予定です。  その中で、学識経験者の御意見も伺いつつ、県教育委員会の指導主事による授業視察や児童・生徒へのアンケート、教職員へのヒアリングなどにより、成果や課題を把握、検証していきます。  そして、コロナ禍の中にあっても、児童・生徒の誰もが、より主体的・対話的で深い学びを実現できるよう、取り組んでまいります。  答弁は以上でございます。  〔さとう知一議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) さとう知一君。  〔さとう知一議員登壇〕 ◆さとう知一議員 ありがとうございます。  デジタルネイティブなどと言われますけれども、今の子供たちは、本当に生まれながらにして、そういったデジタル環境に囲まれているということがあります。  以下、意見、要望を申し上げます。  文部科学省は、インターネットを学習に生かすため、全国の小中学校にパソコンやタブレット端末を配備した上で、教科書のデジタル化も進めると聞きます。デジタル教科書の無償化は、国に対しても強く要望していっていただきたいと考えます。  また、県立高校においては、個人保有の端末を利用するBYOD─Bring your own deviceの取組をいち早く導入した本県であります。  LINEみらい財団等は、オンライン学習システムを無償提供しています。民間とも連携し、子供たちへ豊かな学びの場を提供し、あわせて、子供たちの格差を生まないような取組になることを要望して、次の質問に行きます。  〔さとう知一議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) さとう知一君。  〔さとう知一議員登壇〕 ◆さとう知一 議員  〔資料提示〕  次に、津久井やまゆり園等の県立福祉施設における指定管理者の選定について、お伺いいたします。  本県が指定管理者制度を導入している障害福祉施設である津久井やまゆり園において、指定管理者の元職員が、2016年7月に、世界的・歴史的大惨事と言える殺傷事件を引き起こしました。  私は、これまでも、一貫して、かながわ共同会が指定管理を行っている津久井やまゆり園や、津久井やまゆり園芹が谷園舎で、居室への長期間閉じ込めの疑いがある、適正な利用者サービスが行われていないと本議会で訴えてまいりました。県は、そのときも調査には入らず、その後、虐待が確認された経緯があります。  昨年の本会議、一般質問や決算特別委員会、そして、さきの予算委員会でも取り上げました。  津久井やまゆり園と同じ、かながわ共同会が指定管理を行う厚木市の愛名やまゆり園において、指定管理者であるかながわ共同会の理事であり園長が、2019年10月に、小学生女児に対しての強制性交をしたとして、逮捕されています。  この施設、愛名やまゆり園においては、今年9月にも、虐待の疑いによる立入調査が行われました。  この件で、かながわ共同会は、虐待通報した場合、処分対象になり得るなどとする文書を職員に出し、後、撤回しておりますけれども、その際、知事は、極めて不適切、ガバナンスに問題があると言わざるを得ないと指摘した経緯もあります。  今年1月に、虐待の疑いのある事案が虐待認定された施設であり、その後、半年ちょっとで発覚した今回の虐待の疑い事案です。とんでもないことですし、まだ、終わってはいません。  第一に考えなければならないのは、虐待を受けたとされる当事者へのケアと再発防止であります。もちろん、現場で働く職員さんのほとんどは、献身的に日々働かれているものでありますけれども、虐待を受けた疑いのある利用者さんの精神的なケアについてが第一なのに、かながわ共同会擁護ありきのように見える県の姿勢は、本当に問題だし、この県の体質にこそ、問題の本質があると私は考えています。  〔資料提示〕  芹が谷やまゆり園は、令和3年度の開設から、公募で選んだ法人を指定管理者とする方針でありましたが、これを令和4年度末まで非公募で、かながわ共同会に指定管理者としての継続となりましたし、津久井やまゆり園は、令和6年度末までの指定管理期間を、これまでは令和3年度末までに短縮する方針でしたが、これを令和4年度末までとしています。  そして、令和5年度当初から、指定管理者は、両施設とも公募により選定することになっています。これにより、当初の知事の案より、1年半ほど時間的猶予ができることになります。  公募の選考過程で、かながわ共同会が、指定管理者として任せるにふさわしい法人に生まれ変わったと思われるかどうか、そこまでの改善ができるかどうか、かながわ共同会に対して、見極めている状況であると認識しています。  津久井やまゆり園利用者支援検証委員会は、愛名やまゆり園や中井やまゆり園での検証なども、助言を頂くといったことも含め、検証の対象も拡大していることから、津久井やまゆり園や芹が谷やまゆり園での指定管理者としての継続については、無関係とはなりません。  つまり、今回のことで、非公募で、再度、かながわ共同会に任せる、そのためには、共同会が実態把握し、改善策を提示というペンディングになっている条件が満たせなくなる可能性があるということです。  今回の愛名やまゆり園における対応についても、私は、本県の対応は問題があると考えています。  かながわ共同会に対して、見極めている状況ではありますが、今後、かながわ共同会を指定管理者に指定するにしても、一者ではなく、複数に分割しての指定を検討するべきではないかと考えています。  例えば、ユニットを半分に分けるとか、支援事業ごとに分けて指定管理者を募集するなどです。  例えば、五つあるユニットのうちの二つを、ほかの法人に指定管理をお願いしていれば、芹が谷やまゆり園で起きたような居室閉じ込め等の虐待事案は起きていなかったかもしれないし、起きていたとしても、もっと早く発覚した可能性が高くなります。県の職員が、園にほぼ毎日通っても発見できなかった、こうした虐待事案であっても、同じプロの目で見れば、分かることも多いと考えるからです。  そこで、知事にお伺いいたします。  かながわ共同会が指定管理を行う県施設において、虐待事案や虐待が疑われる事案が、繰り返し発生している状況をこれ以上繰り返さないため、大規模な県立の福祉施設においては、分割して公募し、指定管理者の選定を行うべきと考えるがどうか、お伺いいたします。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 津久井やまゆり園等の県立福祉施設における指定管理者の選定について、お尋ねがありました。  今回、県立障害者支援施設において、指定管理者を分割して公募してはどうかという御提案を頂きました。  しかし、国の省令により、施設の管理者は、管理を一元的に行わなければならないと規定されているため、一つの施設を分割して指定管理者を選定することはできません。  一方で、一つの障害者支援施設を複数の社会福祉法人が、グループを組んで、共同で運営することは、主たる管理法人を定めるなどの要件はありますが、可能です。  議員御提案の趣旨である、障害者支援施設の運営に外部の目を入れることは、利用者目線の福祉を実現するために重要な視点だと考えます。  現在、県では、利用者目線の支援を取り入れて、令和5年度から、津久井やまゆり園をはじめとする、四つの県立障害者支援施設の指定管理者を公募で選定することとしています。  この公募に当たっては、複数の社会福祉法人による共同運営についても検討を行い、より一層の利用者支援の向上が図られるような提案を受けたいと考えています。  私は、神奈川から障害福祉の在り方を変えていくという強い決意を持って、津久井やまゆり園の再生に取り組んでいます。県立障害者支援施設において、利用者目線の新しい障害福祉を実現できるよう、しっかりと取組を進めてまいります。  答弁は以上です。  〔さとう知一議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) さとう知一君。  〔さとう知一議員登壇〕 ◆さとう知一議員 御答弁ありがとうございます。  私が、やまゆり園の指定管理者の在り方にこだわる第1の理由は、利用者さんの幸せと、亡くなった犠牲者の方々に対する責任でありますが、これからの社会福祉を考える中で、これは避けて通れない問題であると思うからであります。  津久井やまゆり園の再生事業で、県が実施する指定管理者の公募をめぐり、黒岩知事は、現在、運営を委託する社会福祉法人かながわ共同会について、今の状態のままで手を挙げても難しいと思うと述べています。  私は、かながわ共同会については、理事長も含めた理事の差し替え等も含めて、生まれ変わったことが誰の目にも明らかになるようでなければ、本当に生まれ変わったことにならないと考えます。  そこで、黒岩知事に再質問させていただきます。  かながわ共同会が指定管理を行う県施設においては、今後どのように指定管理者の選定を進めていこうと考えているのか、また、日本の障害福祉の在り方は、神奈川から変わったと言われるような、利用者目線に立った新しい障害福祉の実現に向けて、知事の決意についても、改めてお聞きして、再質問にします。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  県は、新しい二つのやまゆり園の指定管理を、かながわ共同会を相手方として審査することとしています。  かながわ共同会には、津久井やまゆり園を含めた指定管理施設での利用者支援への指摘に対し、ガバナンスの在り方を含めた再発防止策などを盛り込んだ申請を行うよう求めていますので、県は、その内容が指定管理者としてふさわしいか、厳正に審査してまいりたい、そのように考えております。  かながわ共同会、これは県の施設を指定管理者として運営している法人ですが、独立した民間の法人でありますので、理事の入替えなど、ガバナンスの在り方は、法人自ら考えるべきことであります。  現在、かながわ共同会は、指定管理の手続中であり、県としては、その申請内容を見て、指定管理者としてふさわしいか、厳正に審査してまいりたい、そのように考えております。  答弁は以上です。  〔さとう知一議員発言の許可を求む〕 ○議長(嶋村ただし) さとう知一君。  〔さとう知一議員登壇〕 ◆さとう知一議員 ありがとうございます。  先日、相模原で行われたシンポジウムにお伺いしました。やはり津久井やまゆり園事件の衝撃は大きいですし、神奈川県の、また黒岩知事の今回の施策についても、これからのことについても、本当に注目を集めていると思います。今回は、私の質問に対しても、最大限の答弁をしていただいたと、私は認識しておりますが、まだまだ、これからでございます。  以下、意見を述べます。  かながわ共同会、やまゆり園で働く職員の皆様のほとんどは、日々献身的に利用者さんと向き合い、尊い仕事をされています。  しかし、中間報告、共同会では身体拘束の承諾書というものが、その中で報告されていました。重度障害者に対して、法律の要件を満たさない身体拘束、監禁は、たとえ親が許可しても絶対に許されるものではありません。障害者も、人権を持った一人の人間だからです。当たり前です。  私は、障害のある家族のいる家庭で育ちました。知的障害を持った叔母は、私が18歳のときに亡くなり、そのすぐ後を追うようにして、私の祖母、その叔母の母も亡くなりました。  その彼女が、善意で言われた言葉の中に、親よりも早く亡くなって、この子は本当に親孝行だったという言葉がありました。親よりも早くこの世を去って、親孝行と言われる社会は間違っています。  私が議員になった原点でもありますが、障害者の親亡き後だけではなくて、たとえ重度障害者であったとしても、一度しかない人生を充実したものにしてもらう取組こそが、この神奈川県には求められていると考えています。  神奈川県立津久井やまゆり園では、入所者に対して、長時間・長期間の身体拘束が行われていたと指摘され、その後、改善したと言っているそばから、様々な問題と思われる事象がたくさん出てきています。あまりにひどいと言わざるを得ません。  千葉県では、7年前に起きた虐待死事件を受けて、施設を廃止し、地域移行の方針を決めました。職員15人が入所者23人に虐待するなど、閉じられた空間で、最初はほんの少しの暴力が、日々日々、エスカレートして、日常化していったとのことでありました。  障害者虐待防止法では、正当な理由なく障害者の身体を拘束することは、身体的虐待に当たるという、ごく当たり前の認識が守れないようでは、かながわ共同会は、指定管理者としての再指定はあり得ないと考えています。  また、神奈川県は、重度障害者施設の始まりでもありました。この神奈川県から始まった、そうした思いを持って取り組んでいただきたいと要望して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(嶋村ただし) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(嶋村ただし) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○議長(嶋村ただし) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  次回の会議は、明2日午後1時に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでした。                  午後4時37分 散会...